「使えるリソースは増えないのに、採用数だけが増えて負担が大きすぎる、、」「もっと戦略に時間を使いたいのに作業で1日が終わってしまう」こんな悩みに日々頭を抱えている人事・採用担当者は少なくないのではないでしょうか?実際、応募者対応に追われてしまい頑張っているのになぜかうまくいかないと嘆いている採用担当者はたくさんいらっしゃいます。
そこで必要になってくるのが、工数削減です。しかし、これはただ楽をしましょうということではありません。質の高い採用をしていくために重要な手法です。
本記事では、採用工数を減らすことのメリット・デメリット、そして工数削減を成功させるための具体的な手順をわかりやすく解説します。候補者と丁寧に向き合いたい、でも自分の負担も増やしたくないという人事・採用担当者はぜひ最後まで読んで実践してみてください。
目次
採用市場・傾向
1. 売り手市場
企業側は、選ぶ側ではなく選ばれる側の時代になったため、内定辞退や選考離脱を防ぐための丁寧なフォローがより一層必須になり、候補者1人あたりにかける対応工数が激増しています。
2 採用活動の長期化
新卒の早期化・通年採用化や、中途人材の人手不足により、採用活動のオフシーズンが消滅しました。常に母集団形成から内定フォローまでが同時進行し、終わりなき業務に追われ続けています。
3. 採用手法の多様化
求人サイトやエージェントだけでなく、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用、SNS採用などチャネルが分散するようになりました。そのため、複数の管理画面を行き来し、ターゲットごとに文面を変えるといった運用工数がパンクしています。
採用工数を減らす3つのメリット
1. 採用コストの削減
採用コストは外部費用と内部費用があります。外部費用とは、求人媒体の掲載費用や採用管理ツールの導入費用のこと、内部費用とは、人事担当者や面接官にかかる人件費のことを指します。無駄な作業工数を削減し、効率的な採用オペレーションを構築できれば、見えない内部費用を大きくカットできます。
2. 採用担当者の負担の軽減
複数の媒体管理や手作業でのデータ入力や日程調整などの膨大なルーチンワークは、担当者の体力も時間も心も消耗してしまいます。そのため、これらの作業をツールや仕組みで自動化することができれば、担当者は日々の疲弊から解放され、ミスも減り、本来使うべき仕事に時間を割くことができます。
3. 本来集中すべき業務に時間を割ける
工数削減の最大のメリットは、ただ楽になることではありません。日程調整やデータ移行などの作業を最小限に減らし、浮いた時間を、戦略を立てる、候補者への魅力づけ、内定後のフォローなど人にしかできない業務に充てることができるようになります。そして結果的に、優秀な人材の獲得に繋がるのです。
採用工数を減らす3つのデメリット
採用工数の削減は、本来『無駄を省いて効率化する』ためのものです。しかし、ただ時間や手間を削ることばかりに気を取られ、やり方を間違えてしまうと、以下のようなデメリットが生じてしまいます。
1. 入社後のミスマッチ
単に候補者に接触する回数や面接の時間を減らしてしまうと、候補者のスキルを十分に確認できなかったり、社風に合わない人を採用してしまう恐れがあります。その結果、ミスマッチが表面化し、早期離職に繋がりかねません。早期離職が増えてしまうと、それまでの採用コストや教育コストが無駄になってしまい、さらにまた0から採用活動を始めることになるため、結果的に膨大な時間を浪費し、コストがかかり本末転倒になってしまいます。
2. 候補者体験の悪化
効率化ばかり意識してしまい、候補者へのメール文章をAIぽさのあるテンプレートで済ませる、面談の機会を減らすなどをしてしまうと、候補者の関心は薄れ、志望度も落ちてしまうリスクがあります。売り手市場の今、候補者体験の低下は、内定辞退率の増加や、採用ブランディングに悪影響を及ぼし、将来の母集団形成すら困難になってしまいます。
3.優秀な人材の取りこぼし
工数を減らそうとして、書類選考を学歴や特定のキーワードだけで機械的に弾いたり、適性検査の点数だけで一律に不合格にしたりしてしまうと、本来採用すべき人まで落としてしまうリスクに繋がってしまいます。効率的なスクリーニングは重要ですが、機械的な処理に頼りすぎると、自社で活躍してくれたはずの優秀な層まで取りこぼす「機会損失」を生むことになります。
【準備編】自社の削減すべき工程を特定する
デメリットでお伝えしたような「採用の質の低下」や「候補者体験の悪化」を防止するためには、全ての工数を減らそうとするのではなく、どの業務を削り、どの業務に集中するかを見極めることがまず始めのステップです。
①コア業務とノンコア業務を明確にする
採用業務は、大きく次の2つに分けられます。1つ目は人間がやるべきコア業務、そしてもう1つが仕組みやAIに任せるノンコア業務です。工数削減をして質の高い採用を行うためには、ノンコア業務に注目し、効率化、仕組み化をしていきましょう。
【コア業務】=削ってはいけない業務
・採用要件定義などの戦略の部分
・面接での見極め
・候補者への魅力づけ
・内定者フォロー
など
【ノンコア業務】=積極的に削っていく業務
・データ入力
・面談面接の日程調整
・合否連絡のメール送信
など
②数字でボトルネックを特定する
感覚だけでなく、実際にどの業務にどのくらい時間がかかっているのか、どこで歩留まりが起きているのか、どの媒体の採用がうまくいっているのかなどの数字を調査して無駄な工数がかかってしまっているボトルネックを見つけましょう。
1. 採用担当者の業務負担を出す
採用担当者が「何の業務に、どのくらいの時間がかかっているのか」を可視化しましょう。例えば、週にスカウト送信に⚪︎時間、日程調整に⚪︎時間、などできるだけ具体的に洗い出します。これをすることで、システムを導入した際や、外部に委託した際にどのくらい費用対効果があったかが明確に出せます。
2. 各プロセスにおける歩留まり率
プロセスごとにおける歩留まりを可視化しましょう。例えば、面接を100人行ったのに、実際に最終面接に進んだのは5人だったという場合、書類選考での見極めが甘いということになり、必要のない面接に膨大な時間を割いてしまっていたとわかります。自社の歩留まりを可視化することで、異常値が明確になり、具体的な改善アクションがわかり、正確な工数削減に繋がります。
3. 採用手法ごとの採用率
求人媒体、人材紹介エージェント、ダイレクトリクルーティングなど利用しているチャネルごとの採用決定率を可視化します。また、1採用にかかる費用や時間も比較してみましょう。例えば、運用に毎月⚪︎時間も割いているが、年間で1人も採用ができていないものがあれば思い切って利用をやめるなど、選択と集中をするようにしましょう。
【実践編】ノンコア業務削減のための3つの手法
実際に、ノンコア業務を抽出できたら、どうやって削減していくかを決めましょう。他の企業でうまくいった手法も自社の状況で行ってもうまくいかない可能性もあるので、自社の状況や課題に合った手法を取り入れていくことがポイントです。
1. オンライン化
最も手軽で即効性があるのが、選考プロセスのオンライン化です。対面での面接をオンラインに切り替えるだけで、物理的な手間が省くことができます。また、現場の人に同席いただく場合も、出社をしなくても参加してもらえるため、依頼のハードルも下がるという副次的なメリットも生まれます。
さらに、説明会もオンラインで行うことで、自社の工数削減はもちろん、応募者の参加ハードルも下がるため、参加数が増える可能性も高まります。
2. 採用管理システムの導入
複数の求人媒体やエージェントを利用し、応募者の情報をエクセルなどにて作業でまとめている場合、採用管理システムの導入を検討してみましょう。こちらを導入するのには費用は発生しますが、その分今まで割いていたノンコア業務の時間が浮き、コア業務に集中することができ、結果的に採用活動全体の費用対効果が高まります。また、正確なデータを一元管理できるので、歩留まりも可視化しやすくなるというメリットもあります。さらに、多くの採用管理システムには日程調整機能が備わっているため、そちらを活用することで、日程調整のために割いていた時間も削減できます。
3. 採用代行サービスの活用
社内のリソースだけで、採用活動を行うことが難しい場合は、外部を活用していきましょう。採用のプロにノンコア業務を外注する採用代行(RPO)が有効です。例えば、ターゲットに合う候補者を探し出して、スカウトメールを送るなどの作業を代行して行ってもらいます。基準が明確な定型業務を外部に任せることで、必然的にコア業務に集中できるだけでなく、プロに任せるので返信率の向上も期待できるでしょう。
まとめ|コア業務に専念して賢く質の高い採用活動を
採用工数削減を成功させるための方法を、順を追って具体的に説明してきました。ポイントは以下です。
・工数削減の目的は、楽をするではなくコア業務に専念するため
・ノンコア業務は工夫して削減していく
・自社に合った方法を見つけていくことが重要
工数を削ることは本来であればデメリットも発生します。しかし、正しく削減して、創出できた時間で本来集中すべき業務に専念することができれば、工数を削減しても採用活動は成功します。自分たちの負担を減らして、採用も成功させるという好循環を目指して、質の高い採用活動をしていきましょう。
よくある質問
Q1.数字でボトルネックを特定しようとしても、そもそもデータが整っていません。どうすればいいですか?
A.最初から完璧なデータを揃えようとしなくて大丈夫です。まずは今日からつけられる簡単な記録から始めることが大切です。
たとえば、以下の3つだけでも記録し始めるところからスタートしてみましょう。
・自分が1週間でどの業務に何時間使ったか(業務時間の記録)
・各選考フェーズで何人通過して何人落ちたか(歩留まりの記録)
・どの媒体・チャネルから何人採用できたか(チャネル別の採用数)
エクセルでも構いません。1〜2ヶ月記録するだけでボトルネックが見えてきます。採用管理システムを導入すると、こうしたデータが自動で蓄積されるため、データ収集の手間そのものをなくすことも一つの解決策です。
Q2.採用管理システムを入れたのに、現場担当者がうまく使いこなせず定着しない時はどうしたらいいでしょうか?
A.システムが定着しない原因の多くは、導入することが目的になってしまい、現場への浸透が後回しになっていることです。
以下のポイントを見直してみましょう。
・使う機能を絞る:最初から全機能を使おうとせず、日程調整や合否連絡など、効果が出やすい機能だけに絞って慣れてもらう
・現場のメリットを伝える:「会社のため」ではなく「あなたの手間が減る」という視点で説明する
・入力ルールをシンプルにする:項目が多すぎると負担になるため、必須入力を最低限にする
・最初の1〜2ヶ月はフォローを厚くする:困ったときにすぐ聞ける窓口を作り、小さなつまずきを放置しない
システムは導入してからが本番です。定着までの運用サポートに工数を割くことが、長期的な効率化への近道です。
Q3.採用の繁忙期だけ一時的に業務が爆発してしまいます。このような時の乗り越え方を教えてください。
A.繁忙期だけ社内リソースが足りなくなるというのは、多くの採用担当者が抱えるあるあるの悩みです。そんなときに有効なのが、採用代行(RPO)の活用です。
RPOは必ずしも年間契約で全業務を丸ごと外注するものではなく、繁忙期の一定期間だけ、特定の業務のみ依頼するといった柔軟な使い方も可能です。たとえば、応募者が集中する時期のスカウト送信・日程調整・合否連絡といったノンコア業務をピンポイントで任せることで、担当者はコア業務である面接での見極めや候補者への魅力づけに集中することができます。
繁忙期に無理をして質の低い対応をしてしまうより、プロに任せて採用の質を維持する方が、長期的に見てもコスト的にも合理的な判断です。