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成果を出すリファラル制度の作り方|採用プロが教える設計術

母集団形成 2026.01.14

「採用費が年間1,000万円を超えているのに、入社後すぐ辞める人が後を絶たない」
このような採用の悩みを抱える企業が、いま続々と導入しているのがリファラル制度(社員紹介制度)です。エージェント手数料は年収の35%[1]、1人あたりの採用コストは100万円超が当たり前となった2025年。採用市場の激化により、従来の手法では優秀な人材の確保が困難になっています。
しかし、リファラル制度を導入しても「社員が誰も紹介してくれない」「制度が形骸化している」という企業が7割を超える[2]のが現実です。

本記事では、累計100社以上の採用支援をしてきたTEAM-Xが実践している、リファラル制度の設計方法を解説します。制度設計の具体的な手順から、報酬設定、運用のコツまで、明日から使える実務ノウハウをお届けします。

【実務で使える】リファラル制度 運用テンプレート集(Word形式)

【運用を効率化】リファラル制度管理スプレッドシート(Google形式)

リファラル制度とは?

リファラル制度とは、現職の従業員が信頼できる知人・友人を採用候補者として企業に紹介し、採用に至った場合に報酬を受け取る仕組みです。単なる「縁故採用」とは異なり、戦略的に設計された採用チャネルとして機能します。

従来の採用手法との決定的な3つの違い

従来の求人媒体やエージェント経由の採用と比較すると、リファラル制度には明確な優位性があります。

違い①:採用コストを抑えられる

エージェント手数料は年収の30〜35%が相場です[1]。年収500万円の人材を採用すると、手数料だけで150〜175万円かかります。一方、リファラル制度の報酬は10〜50万円程度が一般的で、採用単価を抑えることができます。

違い②:定着率が高い傾向にある

リクルートワークス研究所の調査によれば、リファラル経由の入社者は、媒体経由と比較して3年後の定着率が高い傾向があるというデータがあります[3]。入社前から既存社員との信頼関係が構築されているため、職場への適応がスムーズに進むケースが多いのです。

違い③:企業文化へのフィット率が高い

紹介する社員は、自社の価値観や雰囲気を理解した上で候補者を推薦します。スキルだけでなく「一緒に働きたい」という感覚的な判断が加わるため、カルチャーマッチの精度が高まります。

リファラル制度が求められる背景

採用市場の構造変化により、リファラル制度の重要性は年々高まっています。

背景①:転職潜在層へのアプローチが必須に

優秀な人材ほど、能動的に転職活動をしていません。LinkedInの調査では、ハイパフォーマーの多くが「求人サイトを日常的にチェックしていない」と回答しています[4]。こうした転職潜在層にリーチできる有効な手段の一つが、社員ネットワークを活用したリファラル採用なのです。

背景②:採用ブランディングの重要性向上

「この会社で働きたい」と思われる魅力がなければ、どんな採用手法も機能しません。リファラル制度が活発な企業は、社員が「自社を紹介したい」と思える組織である一つの指標となり、採用ブランディングの強化につながります。

7割の企業が失敗する:リファラル制度が機能しない3つの原因

リファラル制度を導入しても、実際に成果を出している企業は多くありません。失敗する原因は、制度設計の根本的な誤解にあります。

原因①:「報酬」で釣ろうとして、「理念」を伝えていない

「報酬を50万円に上げれば、社員は動くだろう」—これは最もよくある失敗パターンです。

従業員が知人を誘う最大の動機は、金銭ではありません。むしろ「一緒に働きたい」「この会社は知人にとっても良い場所だ」という企業への共感です。報酬だけを前面に出すと、制度が「金目当ての紹介」と受け取られ、逆に参加を敬遠されます。

社員が自社に誇りを持っていなければ、どれだけ報酬を積んでも積極的な紹介にはつながりません。

解決策:経営層から「なぜこの人材が必要か」を語る

制度開始時には、CEOや役員から「事業戦略上、なぜこのポジションが重要か」「採用することで会社がどう変わるか」を全社員に向けて発信しましょう。「人事が忙しいから手伝ってほしい」ではなく、「〇〇事業の成功のために、あなたのネットワークの力を貸してほしい」というメッセージが重要です。

原因②:紹介プロセスが複雑で、従業員の負担が大きすぎる

「専用ツールに20項目入力」「推薦理由を500文字で記述」—こんな面倒な制度では、誰も使いません。

紹介のハードルが高いと、どれだけ報酬が魅力的でも制度は機能しません。特に問題なのが、紹介後のフォロー体制です。

  • 候補者に連絡したのか分からない
  • 面談日程がなかなか決まらない
  • 選考状況が不透明

このような状態が続くと、紹介者は「もう二度と紹介したくない」と感じてしまいます。紹介した知人の選考が滞ると、紹介者自身の顔も潰れるからです。

解決策:紹介方法を複数用意し、24時間以内に初回連絡

紹介の窓口を「専用フォーム」「メール」「Slackのダイレクトメッセージ」など複数設け、従業員が最も簡単な方法を選べるようにしましょう。理想的なタイムラインは以下の通りです。

このスピード感が、紹介者の満足度を大きく左右します。

タイミング アクション 担当
紹介受付から24時間以内 候補者への初回連絡 人事
初回連絡から3日以内 カジュアル面談の日程確定 人事
面談後24時間以内 紹介者へ進捗報告 人事

原因③:不採用時のフォローがなく、紹介者が離れていく

「紹介した候補者が不採用になったのに、何の連絡もなかった」—これが、リファラル制度を破壊する最大の要因です。

紹介した知人が不採用になることは珍しくありません。しかし、そのときの対応次第で、紹介者が今後も協力してくれるかが決まります。

不採用時に何の連絡もしない、または形式的な「ありがとうございました」だけで終わらせると、紹介者は「自分の顔に泥を塗られた」と感じます。知人に対して気まずくなり、二度と紹介しなくなるのです。

解決策:不採用でも、紹介者への感謝と丁寧なフィードバック

候補者のプライバシーに配慮しつつ、紹介者には以下のような対応を徹底しましょう。

  1. 迅速な連絡:選考結果が出たら、24時間以内に紹介者に報告
  2. 感謝の表明:「今回は見送りとなりましたが、ご紹介いただき本当にありがとうございました」
  3. 簡潔なフィードバック(任意):「スキルは素晴らしかったが、今回は〇〇の経験を持つ方を優先した」など、紹介者が納得できる理由を伝える

さらに、採用に至らなくても「紹介してくれた行動自体」に対して、少額のギフト券(3,000〜5,000円程度)を渡す企業も増えています。

成果を出すリファラル制度の設計7ステップ【実務フロー完全版】

ここからは、実務で即活用できる具体的な設計手順を解説します。リファラル制度の成功は、設計フェーズで大きく左右されます。

ステップ1:目的とターゲットポジションの明確化

全社一律の制度ではなく、「戦略的な重点ポジション」から始めることが成功の鍵です。

まず、以下の3つの観点から、リファラル採用を優先すべきポジションを特定します。

  1. 採用難易度が高いポジション:エンジニア、データサイエンティストなど、市場に人材が少ない職種
  2. 事業成長のボトルネックとなっている部門:新規事業の立ち上げメンバー、マネージャー候補など
  3. カルチャーフィットが特に重要なポジション:創業期のスタートアップや、チームワークが重視される部署

次に、そのポジションのペルソナ(理想の候補者像)を具体化します。

ペルソナ設定の例(Webマーケター)

  • 必須スキル:SEO施策の実務経験3年以上、GA4でのデータ分析
  • 歓迎スキル:広告運用経験、コンテンツマーケティング
  • カルチャーフィット:データドリブンな意思決定を重視、成長意欲が高い、チームで協力して働ける

このペルソナを全従業員に共有することで、「あの人が合いそうだ」と具体的にイメージできるようになります。

ステップ2:紹介プロセスの設計(簡素化が命)

従業員が迷わず紹介できるよう、シンプルなフローを設計します。

標準的な紹介プロセス

フェーズ 担当者 アクション 目標タイムライン
① 紹介受付 従業員 専用フォーム/Slack/メールで候補者情報を送信 5分以内
② 初回連絡 人事 候補者に連絡し、カジュアル面談を提案 24時間以内
③ 進捗報告 人事 紹介者に「連絡済み」を報告 初回連絡後すぐ
④ カジュアル面談 人事/現場社員 リラックスした雰囲気で会社説明・質疑応答 1週間以内
⑤ 本選考 人事/採用責任者 通常の選考プロセス(面接2〜3回) 2〜3週間
⑥ 結果通知 人事 紹介者と候補者の両方に結果を通知 選考終了後24時間以内
⑦ 報酬支払い 人事/経理 採用決定後、規定のタイミングで報酬支払い 入社後3〜6ヶ月

重要なポイント

  • 紹介受付の方法は複数用意する(専用フォーム、メール、Slack、口頭など)
  • 候補者への初回連絡は24時間以内を徹底
  • 紹介者への進捗報告を必ず行う(特に不採用時)

ステップ3:報酬体系の設計(金額・支払い条件の明確化)

報酬設計では、「いくら払うか」よりも「いつ払うか」が重要です。

2025年時点の報酬相場[5]

職種・ポジション 報酬額の目安 支払いタイミング
エンジニア・高度専門職 50〜100万円 入社後6ヶ月
マネージャー・営業職 30〜50万円 入社後3〜6ヶ月
一般職・非専門職 10〜30万円 入社後3ヶ月

支払い条件の設定理由

多くの企業が「入社後3〜6ヶ月」を支払いタイミングとするのは、早期退職リスクを防ぐためです。試用期間終了後や、入社後の定着を確認してから支払うことで、ミスマッチによる損失を防げます。

ただし、あまりに支払いが遅いと従業員のモチベーションが下がるため、バランスが重要です。

ステップ4:制度ルールの文書化(透明性の確保)

公平で透明性の高いルールを策定し、従業員の信頼を勝ち取ります。

制度規定に必ず含めるべき項目

  1. 対象者:正社員、契約社員、派遣社員など、誰が紹介できるか
  2. 対象ポジション:どの職種・等級が対象か
  3. 報酬額:職種ごとの報酬金額
  4. 支払いタイミング:入社後〇ヶ月、または試用期間終了後など
  5. 不採用時の対応:フィードバックの有無、感謝の形
  6. 禁止事項:反復継続的な紹介の禁止(職業安定法への抵触防止)

これらを「リファラル採用規程」として文書化し、社内イントラネットで公開しましょう。

ステップ5:社内キックオフ(経営層からのメッセージ発信)

制度は作って終わりではなく、社内への浸透こそが成功の鍵です。

キックオフ時には、CEOや役員から全従業員に向けて、以下の内容を発信します。

経営層からのメッセージ例 「当社は今年、〇〇事業を本格展開します。そのために、Webマーケティングの専門人材を5名採用する必要があります。採用市場は競争が激しく、従来の手法では優秀な人材に出会いにくい状況です。そこで、皆さんの力を借りたいのです。皆さんのネットワークには、求人サイトに載らない優秀な人材がいるはずです。ぜひ、一緒に働きたいと思える方を紹介してください。」

このように「なぜ必要か」「どんな未来を創るか」を語ることで、社員の協力意欲が変わります。

ステップ6:採用依頼書の作成

各ポジションの詳細をまとめた「採用依頼書」を作成し、従業員が紹介しやすくします。

採用依頼書に含める項目

  • ポジション名・部署
  • 募集背景(なぜこのポジションが必要か)
  • 必須スキル・歓迎スキル
  • 想定年収
  • 働き方(リモート可否、勤務地など)
  • カルチャーフィット(どんな人が活躍しているか)
  • 紹介報酬額

これをA4で1〜2枚にまとめ、社内Slackやメールで共有します。

ステップ7:定期的な効果測定とPDCA

制度を継続的に改善するため、定量データに基づきPDCAを回します。

測定すべき3つのKPI

  1. 紹介率:全従業員に占める紹介者の割合(目安:10〜20%)
  2. 採用決定率:紹介された候補者のうち採用に至った割合(目安:30〜50%)
  3. 定着率:リファラル経由入社者の1年後定着率(目安:高水準を目指す)

四半期ごとにこれらのデータを分析し、問題があれば速やかに改善します。例えば、紹介率が低い場合は「社員のエンゲージメントに問題がないか」を調査し、採用決定率が低い場合は「ペルソナ設定が曖昧ではないか」を見直します。

報酬設計の実践ガイド|金額相場と支払いタイミング

報酬設計は、リファラル制度の成否を分けるデリケートな論点です。「高額にすれば成功する」という単純な話ではありません。

金銭報酬vs非金銭報酬:どちらを選ぶべきか

報酬には「金銭報酬」と「非金銭報酬」の2種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社に合った設計をしましょう。

金銭報酬のメリット・デメリット

メリット デメリット
明確で分かりやすい 金額が低いと不満につながる
高額職種では強い動機付けになる 「金目当て」と受け取られるリスク
公平性を担保しやすい 税務処理が必要

非金銭報酬のメリット・デメリット

メリット デメリット
「感謝の印」として受け取られやすい 価値観が多様で、喜ばれない可能性
税務処理がシンプル(一定額以下) 高額職種では物足りない
企業文化の醸成につながる 公平性の担保が難しい

実務的な推奨:金銭報酬をベースに、非金銭報酬を併用

例えば、採用成功時には金銭報酬(30万円)を支払い、カジュアル面談が設定できた段階で非金銭報酬(5,000円のギフト券)を渡す、という組み合わせが効果的です。

報酬額の決め方:職種・等級別の設計

報酬額は、「採用難易度」「年収レンジ」「市場価値」の3つの観点から決定します。

報酬額設定の計算式(目安)

報酬額 = 想定年収 × 5〜10%

例えば、年収600万円のエンジニアを採用する場合、報酬は30〜60万円が目安となります。

職種別の報酬相場(2025年版)

職種 採用難易度 報酬相場 設定理由
AI/機械学習エンジニア 非常に高 80〜150万円 市場で争奪戦、年収も高額
Webエンジニア 50〜80万円 慢性的な人材不足
マネージャー職 中〜高 40〜60万円 適任者が少ない
営業職 20〜40万円 候補者は多いが、優秀な人材は限定的
一般事務職 低〜中 5〜20万円 候補者が比較的多い

支払いタイミングの設計:早期退職リスクへの対策

多くの企業が悩むのが「入社してすぐ辞められた場合、報酬を返金してもらえるか」という問題です。

一般的な支払いタイミングの設計[6]

タイミング メリット デメリット 採用シーン
入社時 紹介者の満足度が高い 早期退職リスクが高い 採用難易度が極めて高い職種
試用期間終了後(入社3ヶ月) バランスが良い 待機期間が長いと不満 一般的な職種
入社6ヶ月後 定着を確認できる 紹介者のモチベーション低下 高額報酬の職種

推奨:2段階支払い方式

最近のトレンドは、報酬を2回に分けて支払う方式です。

  • 1回目:入社時または試用期間終了後に50%を支払い
  • 2回目:入社6ヶ月後に残り50%を支払い

この方式により、紹介者のモチベーションを維持しつつ、早期退職リスクも軽減できます。

独自提案:「アクションインセンティブ」で参加ハードルを下げる

RMFの視点から推奨するのが「紹介という行動自体」に対する低額報酬の付与です。

例えば、以下のような設計です。

アクション 報酬 目的
候補者を紹介 感謝状 心理的な承認
カジュアル面談実施 5,000円のギフト券 行動への感謝
本選考に進む 10,000円のギフト券 継続的な協力への感謝
採用決定 30〜100万円 成果への報酬

この設計により、「採用は難しいが、紹介ならできる」という従業員の行動を喚起し、社内でリファラルに対するポジティブな雰囲気を醸成できます。

【実務で使える】リファラル制度 運用テンプレート集(Word形式)

報酬額一覧表、支払い条件規程、紹介プロセスフロー図、紹介依頼書フォーマットの4つのテンプレートをWord形式で無料提供します。

テンプレート内容
・テンプレート1:報酬額一覧表(職種別・金額設定)
・テンプレート2:支払い条件規程(正式な規程文書)
・テンプレート3:紹介プロセスフロー図(7ステップの視覚化)
・テンプレート4:紹介依頼書フォーマット(社員向け募集要項)
▶︎ 無料ダウンロード(Word形式)はこちら

制度を定着させる3つの仕掛け|エンゲージメント連動型の運用術

リファラル制度の成功は、報酬額ではなく「組織風土」に左右されます。ここでは、制度を定着させるための実践的な仕掛けを解説します。

仕掛け①:「採用は人事の仕事」という壁を壊す

リファラル採用が失敗する最大の原因は、「採用は人事部の仕事」という意識です。

成功している企業は、全社員が「採用は自分たちの仕事」と認識しています。そのために、以下の施策が効果的です。

部門長に「カジュアル面談の実施」を義務化

各部門長に対し、リファラル候補者とのカジュアル面談を必ず実施してもらいます。これにより、部門全体で採用に責任を持つ文化が醸成されます。

社内ミートアップの定期開催

月1回、各部署が「どんな仕事をしているか」「どんな人が活躍しているか」を語る社内イベントを開催します。これにより、従業員が他部署のニーズを理解し、「あの人を紹介できそう」と気づくきっかけになります。

仕掛け②:紹介者の「顔が立つ」フォロー体制の構築

紹介者が知人に対して気まずい思いをしないよう、徹底的にフォローします。

不採用時の対応プロトコル

  1. 選考結果が出たら、候補者より先に紹介者に連絡:「本日、選考結果を〇〇さんにお伝えしますので、先にご報告させていただきます」
  2. 感謝を最優先:「今回は見送りとなりましたが、素晴らしい方をご紹介いただき、本当にありがとうございました」
  3. 簡潔なフィードバック(任意):「スキルは申し分なかったのですが、今回は〇〇の経験がある方を優先させていただきました」

このプロトコルを人事部で徹底することで、紹介者の満足度が向上します。

採用成功時の社内表彰

四半期に1回、リファラル採用に貢献した社員を表彰する制度も効果的です。全社会議で紹介者を称え、感謝状や記念品を贈呈します。金銭以上に、「会社から認められた」という心理的報酬が、次の紹介行動を促します。

仕掛け③:エンゲージメント調査と連動させる

リファラル採用が低迷している場合、それは「制度が悪い」のではなく、「既存社員の働きがいや職場満足度が低い」可能性があります。

優秀な人材は、ネガティブな情報を持つ企業を紹介しません。リファラル制度は、組織が健全であることの証明でなければならないのです。

エンゲージメント調査の実施

半期に1回、従業員エンゲージメント調査を実施し、以下の項目をモニタリングします。

  • 「この会社を友人に勧めたいと思うか(eNPS)」
  • 「自分の仕事にやりがいを感じているか」
  • 「上司や同僚との関係は良好か」

eNPS(Employee Net Promoter Score)が低い場合、リファラル制度を強化する前に、組織課題の解決を優先すべきです。

改善施策の実施

エンゲージメント調査で明らかになった課題(人事評価への不満、労働環境の問題など)を改善することが、最も本質的なリファラル成功への道です。

よくある質問:法律・税務・運用トラブル対策

実務でよく寄せられる質問に、専門的な視点から回答します。

Q1. リファラル報酬は職業安定法に違反しないか?

A. 原則として違反しません。ただし、運用方法に注意が必要です。

職業安定法では、無許可での「職業紹介事業」が禁止されています[8]。しかし、リファラル採用は以下の条件を満たせば、職業紹介事業には該当しません。

職業安定法に抵触しない条件

  1. 従業員が「反復継続して」紹介を行うものではない
  2. 紹介が従業員の「主たる業務」ではない
  3. 企業が従業員に「依頼」する形である(義務ではない)

逆に、特定の社員に「毎月〇人紹介することをノルマとする」といった運用は、職業安定法に抵触する可能性があります。

Q2. 報酬の税務処理はどうすべきか?

A. 報酬は「一時所得」または「雑所得」として扱い、源泉徴収が必要な場合があります。[9]

リファラル報酬の税務処理は、金額と支払い形態により異なります。

金額別の税務処理

報酬額 税務上の扱い 企業の対応
50万円以下 一時所得(年間50万円までは非課税) 特に対応不要
50万円超 一時所得(超過分は課税対象) 年末調整で対応
継続的な支払い 雑所得 源泉徴収が必要

実務上の推奨

  • 報酬支払い時に「支払調書」を発行
  • 年間50万円を超える場合は、税理士に相談
  • 社員には「確定申告が必要な場合がある」と事前に伝える

Q3. 不採用になった候補者から「なぜ落ちたのか」と聞かれたら?

A. 紹介者を通じて、簡潔かつ建設的なフィードバックを伝えます。

候補者のプライバシーに配慮しつつ、以下のような対応が適切です。

フィードバックの例

  • 「スキルは申し分なかったが、今回は〇〇の経験がある方を優先した」
  • 「カルチャーフィットの観点で、別の候補者を選定した」
  • 「今回は見送りだが、将来的なポジションでぜひご縁があれば」

ただし、具体的すぎる指摘(「コミュニケーション力が不足」など)は避け、建設的な内容に留めましょう。

Q4. 紹介者と候補者の関係が悪化した場合の対応は?

A. 人事部が仲介役となり、両者の関係を守る配慮が必要です。

採用・不採用に関わらず、紹介者と候補者の関係が悪化するリスクはゼロではありません。特に不採用時は注意が必要です。

トラブル防止策

  1. 紹介時の確認:「選考結果に関わらず、関係に影響はないか」を紹介者に確認
  2. 候補者への配慮:不採用通知は丁寧に、感謝の意を伝える
  3. 紹介者へのフォロー:「〇〇さんには感謝をお伝えしました」と報告

最悪の場合、紹介者が「もう二度と紹介しない」と感じる可能性もあるため、トラブルが起きた場合は迅速に対応しましょう。

Q5. アルバイトやパート社員も制度対象にすべきか?

A. 原則として対象に含めることを推奨します。ただし、報酬体系は区別します。

アルバイトやパート社員は、現場の課題や必要な人材像を深く理解していることが多く、「現場の即戦力」を紹介する有効なチャネルとなります。

雇用形態別の報酬設計例

雇用形態 報酬額の目安 理由
正社員 標準額(30〜100万円) 責任範囲が広い
契約社員 標準額の70〜80% 正社員に準じる
アルバイト/パート 標準額の30〜50% 紹介機会が限定的

全社的に制度の対象とすることで、企業全体での採用意識が高まり、多様な人材の獲得につながります。

【運用を効率化】リファラル制度管理スプレッドシート(Google形式)

紹介案件の進捗管理から報酬支払い、KPI測定まで、リファラル制度の運用を一元管理できるスプレッドシートテンプレートを無料提供します。

 スプレッドシート内容(5シート構成)

  • シート1:報酬額一覧(職種別の報酬設定)
  • シート2:紹介管理台帳(案件進捗の一元管理)⭐️最重要
  • シート3:支払い管理(報酬支払いスケジュールと実績)
  • シート4:採用依頼書(ポジション別募集要項)
  • シート5:KPIダッシュボード(効果測定指標の可視化)

特徴

  • Googleスプレッドシートでそのまま使える
  • 自動計算式付き(支払予定日、KPI集計など)
  • 条件付き書式で24時間ルールを自動チェック
  • 詳しい使い方ガイド付き

▶︎ 無料ダウンロード(CSV/Excel形式)はこちら

まとめ:リファラル制度は「採用戦略」であり「組織文化」である

リファラル制度は、単なる採用チャネルではありません。組織が健全で、社員が誇りを持って働いている証明であり、持続的な成長を支える戦略的な仕組みです。

本記事で解説した7つのステップを実践することで、貴社は採用の質と効率を高めることができます。

ただし、忘れてはならないのは、リファラル制度の成功は「報酬額」ではなく「組織風土」に懸かっているということです。

社員が「一緒に働きたい」と思える仲間を紹介するには、まず自社が「紹介したくなる会社」でなければなりません。エンゲージメント調査を定期的に実施し、組織課題を改善しながら、戦略的にリファラル制度を運用してください。

本記事のポイントまとめ

  1. 目的の明確化:経営戦略と連動し、「誰を」「何のために」採用するかを定義する
  2. プロセスの簡素化:従業員の負担を最小限にし、紹介しやすい環境を整備する
  3. 報酬の適正化:金額だけでなく、支払いタイミングと感謝の形を設計する
  4. フォローの徹底:不採用時こそ、紹介者への感謝と丁寧な対応を最優先する
  5. 風土の醸成:エンゲージメントを高め、「紹介したくなる組織」を創る

 

参考文献・データ出典

本記事で引用したデータおよび参考情報の出典は以下の通りです。

[1] 採用市場調査(2024-2025年):人材紹介会社のエージェント手数料相場データ

[2] 企業人事担当者向け調査(2024年):リファラル制度導入企業における制度活用状況調査

[3] リクルートワークス研究所『採用チャネル別定着率調査』:採用経路別の入社後定着率に関する調査データ

[4] LinkedIn『Global Talent Trends Report』:グローバル人材市場における転職活動実態調査

[5] 企業のリファラル制度実態調査(2025年):職種別リファラル報酬額の市場相場データ

[6] 人事労務実務調査(2024-2025年):リファラル報酬の支払いタイミングに関する実態調査

[7] eNPS(Employee Net Promoter Score):従業員エンゲージメント指標。「この会社を友人に勧めたいか」を測定する指標

[8] 厚生労働省『職業安定法の解釈について』 https://www.mhlw.go.jp/

[9] 国税庁『一時所得の課税について』『給与所得者の源泉徴収事務』 https://www.nta.go.jp/

注記

  • 本記事で紹介している報酬相場や運用事例は、2025年時点の一般的な水準です
  • 実際の制度設計においては、自社の状況や法令の最新情報を確認の上、専門家(社会保険労務士・税理士等)にご相談ください
  • 記事内の具体的な金額や数値は、あくまで参考値であり、業界・企業規模・地域により異なります

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