採用活動を行う中で、「どの媒体が効果がでているのか?」「選考のどこで歩留まりが起きているのか?」と聞かれても、感覚でしか答えられずにもやもやした経験はありませんか?
数値を分析しようと思っても、データが散らばっていて、まずは集約するところから、、と思ってもその作業の負担が大きくて断念してしまう。そんな人事・採用担当者も少なくないです。
このような状況を変えてくれるのが「採用ダッシュボード」です。散らばっているデータを集約して数値を可視化し、ボトルネックを迅速にかつ的確に特定できるようになります。さらに、自動化することで工数削減にも繋がり、データという共通言語で、社内の意思決定をスムーズに変えることができます。
本記事では、採用ダッシュボードのメリットから具体的な作成ステップ、見るべき指標まで徹底解説しています。感覚の採用ではなく、データに基づいた採用で成果を出したい採用担当者の方はぜひ最後まで読んで実践してみてください!
目次
採用ダッシュボードとは何か
採用ダッシュボードは、採用活動に関わるさまざまな情報をひとつに集約し、グラフや表で分かりやすく可視化させたものです。
一般的には、ATS(採用管理システム)と連携させて、応募者数や書類選考通過率、面接通過率などの数字を自動集約し、ダッシュボード上で確認することが可能です。
採用ダッシュボードの必要性
現代の採用は、求人広告、エージェント、ダイレクトリクルーティング、リファラルなどチャネルが多岐に渡っており、情報が断片的になりがちです。そのため、感覚的な判断に頼ってしまったり、データをまとめるだけで時間がかかってしまい、結果的に工数をかけたわりに成果が出ないというケースも少なくありません。
日常から採用ダッシュボードへ情報を集約することができていたら、感覚や経験だけに頼らない、データに基づいた意思決定を、より早くかつ的確に行うことができます。つまり、ダッシュボードの構築は、採用の進捗状況を常に把握し、戦略的な採用を行うための基盤になります。
採用ダッシュボードを作成する3つのメリット
ここからは採用ダッシュボードを作成することで得られるメリットをお伝えします。
1. 採用の質の向上
選考プロセスの歩留まりを可視化することで、ボトルネックとなっている選考ステップやフェーズが特定しやすくなり、選考プロセスの改善につながります。ATSを使って歩留まりを確認することもできますが、あくまでもATSの目的は応募者の採用進捗管理を行うことなので、細かい数値などの分析をするには難しいのが現状です。そのため採用ダッシュボードを構築することで、ボトルネックを特定し早期の課題解決に繋がります。
2. 採用業務効率化と工数削減
これまで膨大な時間を費やしていた、各媒体ごとのデータを手作業でExcelへ転機する作業を自動化でき、工数削減に繋がります。また、手作業によるミスやタイムラグが解消されるだけでなく、人事担当者が本来注力すべきデータの分析やボトルネックの特定を迅速に行えるようになり、採用活動全体の精度とスピードを向上させます。
3. チームや経営層との共通言語になる
数値に基づいた客観的な事実をリアルタイムで共有できるため、関係者間での認識のズレが解消されます。今までは担当者の感覚や主観で行っていた議論が、データを用いて数値を可視化することで、根拠のある議論へと変わり、経営層への提案もスムーズになるでしょう。
採用ダッシュボード構築の4ステップ
1. 目的とゴールを明確にする(何のためにデータをみるか決める)
まずは、『誰が』『何の判断をするために作成するのか』を定義しましょう。
現場担当者がスカウトの返信率を改善するため、などできるだけ具体的に目的とターゲットを決めることがポイントです。
2. 採用指標を見つける(何のデータをみるか決める)
目的が決まったら、次は課題の特定です。ここはかなり重要なポイントになってくるので具体的に見るべき指標を以下にまとめます。
| 解決したい課題 | 見るべき指標(KPI) | 指標からわかること |
| 母集団が足りない | 媒体別の応募数・PV数・遷移率 | どの媒体が機能しているか。求人票自体の魅力(クリック率)に問題はないか。 |
| 選考がスムーズに進まない | 各フェーズの通過率・平均選考日数 | どこで候補者が停滞しているか。特定の面接官の評価が厳しすぎないか。 |
| 内定辞退が多い | 内定承諾率・辞退理由の分類 | 自社の条件(年収、働き方など)が市場とズレていないか。魅力付けが不足していないか。 |
| 採用コストを抑えたい | 一人当たり採用単価(CPH)・媒体別ROI | 費用対効果の低いチャネルはどこか。無駄な広告費を削れる箇所はないか。 |
3. データを収集する(作成するためのデータを集める)
何のデータを見ればいいかというところまでできれば、次は分析に必要なデータ収集です。ATSや面談記録、求人媒体の管理画面から必要な指標を見つけてきましょう。ここで重要なのは、「選考期間」は候補者が応募した日なのか、説明会にきた日なのかなどの定義を決めておくことです。この定義を決めておかないと、本当のボトルネックが導き出せない可能性もあるため決めるようにしましょう。
4. ダッシュボードを設計する(作成する)
集めたデータをBIツール(Tableau, Looker Studioなど)を使って形にしていきます。Excelを使う場合でも、単なる表計算ではなく自動更新されるアプリケーションとして構築するのがポイントです。設定するまでは時間がかかりますが、元データを更新するだけでグラフが最新化される状態を目指し運用コストを0に近づけましょう。
採用ダッシュボードを作成するときに意識したい3つのこと
採用ダッシュボードは作ることがゴールではありません。活用して成果に繋げるために作成します。ここでは、作成するときに意識したいポイントを3つご紹介します。
1. 誰が使うかを意識して作成する
目的やターゲットを意識しないと、情報が多くなりすぎてしまい結果的に誰がみても見づらくて伝わらないものになってしまいます。誰が見るかというターゲットを意識して、見せ方を工夫することで意思決定のスピードや業務効率化に繋がります。
〈具体例〉
・経営層・役員の向け:予算に対してどれだけ成果が出ているか、目標人数に対してあと何人必要か、などの経営判断に直結する大きな数字をメインに作成しましょう
・現場メンバー向け:各媒体の応募数や面接の歩留まりなどの日々のアクションに繋がるデータを中心に作成しましょう
2. 視覚的要素を工夫する
数字を並べているだけでは、ボトルネックを特定しづらくなってしまったり、重要なデータを見落としてしまうかもしれません。そのため、グラフや表にまとめたり、色を工夫して見た瞬間にどこのデータが問題なのか視覚的に伝わるように作成することが重要です。
〈具体例〉
・推移は折れ線グラフ、構成比やボリュームを見るなら円グラフなど数値が一番伝わる表現方法に
・達成している時は緑、見直しが必要な部分は赤など色で判断できるように
3. 作成して終わりではなく、活用できる仕組みを作る
採用ダッシュボードは作って終わりではなく、定期的に振り返りをし、次のアクションに繋げていくことが重要です。そのため、毎週の定例会議でダッシュボードを見る時間を設けるなどの日常の業務に組み込むようにしましょう。また、追うべき数字やKPIは日々更新されていくので、その都度どのデータが必要かを吟味してアップデートし続けることがかなり重要になってきます。
〈具体例〉
・週次ミーティングの冒頭5分で必ずダッシュボードを開き、目標数値との乖離をチーム全員で確認する。
・3ヶ月に一度、誰も見ていないグラフをを削除し、常に情報の鮮度と見やすさを保つ。
ダッシュボード構築でありがちな失敗3選
1. 指標が多すぎる
構築ステップ1の目的の部分が明確でない場合、あれもこれもとなってしまい見るべき指標が埋もれてしまう恐れがあります。全ての情報を詰め込むのではなく、目的に必要な指標に優先順位をつけて並べるようにしましょう。
2. データの更新が手動で負担が多い
作成時に更新を手動で行う想定で作成してしまうと、忙しくなってきた時に後回しになってしまい、せっかく作ったダッシュボードが無駄になってしまう可能性があります。はじめの工数や負担はありますが、できるだけはじめから自動化を目指して作成しましょう。
3. 見た目が複雑すぎる
ダッシュボードは誰が見ても視覚的に理解できるものを作成することが目標です。そのため色をつける際は、色ごとに意味を持たせたり、無駄に凝ったグラフを作成するのではなく、シンプルかつわかりやすいダッシュボードを作成しましょう。
使える工数が少ない時はどうすればいい…?
会社の規模が小さいから、工数が割けないからやらないのではなく、1つの指標だけでもいいのでまずは小さく動くことから始めましょう。また、上手に外部のサービスを活用するのも視野に入れておくといいでしょう。
1.標準機能とテンプレートを使う
採用ダッシュボードを0から作成しようとするとかなりの労力と時間がかかります。そのため、まずは標準機能やテンプレートを活用することをおすすめします。最近では、リソースの限られた中小企業に最適化されたSaaS型ダッシュボードや導入支援サービスも増えてきているので、それらを活用するのも良いでしょう。
2.RPO(採用代行)を活用する
多くのRPO(採用代行)は、日々のスカウト送信や日程調整だけでなく、週次・月次レポートの作成もオプションで行ってくれる場合があります。RPOは他社の数値も知っているため、プロの目線で比較を盛り込んだレポートを出してくれたりするので、上手に活用することをおすすめします。
まとめ|採用ダッシュボードを活用して効率よく採用活動を行う
採用ダッシュボード作成方法、メリット、ありがちな失敗など解説してきました。
ポイントは以下です。
・採用ダッシュボードを作成する前にまずは目的とターゲットの選定が重要
・採用ダッシュボードは作成がゴールではなく、運用して成果を出すことで価値になる
・使える工数が少ないから諦めるのではなく、小さくてもいいのでまずは始めることが大事
採用ダッシュボードを作成することは簡単ではありませんが、構築できてしまえばとても便利で採用活動には欠かせないものです。
「自社の課題ってなんだっけ?」「やることが多すぎて何から手をつけたらいいかわからない」という人事担当者こそぜひ採用ダッシュボードを作成して、活用して、成果に繋げていきましょう!
よくある質問
Q1. 採用ダッシュボードのツールを検討中です。自社に合ったツールを見極めるためにはどこをみて判断したら良いでしょうか?
A.採用ダッシュボードのツールを導入の際は、以下の4点を比較すると自社に合ったツールを選ぶことができます。
①既存システム(ATS)との連携性:使っているATSからAPIで自動でデータを引っ張れるか
②分析の深さよ自由度:自社独自の選考フローが反映できるか、導入したらすぐにチャネル別進捗が見れるか。
③使い勝手(UI/UX):人事だけでなく、現場の面接官やマネージャーも使いやすいか。携帯でもみやすいか。
④サポート体制:導入後のサポートをどのくらいしてくれるのか。
Q2. 1人人事でも運用できますか?
A.可能です。ただし、始めから完璧なものを目指す必要はありません。はじめは1-2指標に絞って小さく始めることが重要です。記事内でも紹介した通り、ATS標準機能やテンプレートを活用すれば構築の負担を大きく削減できます。1人で全てを抱え込まず、RPOにお任せするという選択肢も有効です。
Q3. 経営層に見せる時に工夫すべきポイントはありますか?
A.経営層に対しては、細かい現場の数字ではなく、経営判断に直結する数字に絞って見せることが重要です。具体的には、目標採用人数に対する進捗率、採用単価、予算消化率など、コストと成果が一目でわかる指標を中心に構成しましょう。さらに、数字からのネクストアクションも提示できると、意思決定に繋がりやすくなります。