施工管理の求人票を媒体やハローワークに出しても、経験者から応募が来ない。来ても工種や資格が噛み合わない。この状態が続くと、給与や休日を上げる話になります。ただ、条件の問題とは限りません。30歳で年収700万円台(残業代込み)、離職率も低い会社でも、施工管理2名の募集を4年続けて、入社したのは知人の紹介で来た1人だけです。
応募が止まる原因は、文章のうまさではなく、求人票の数字が現場の実態とズレていることにあります。この記事では、仕事内容・給与・休日と残業・応募条件・待遇という5つの項目について、NG例とOK例を並べた書き分け方、掲載前に見るチェックリスト、2024年4月から明示が必要になった3項目の書き方をまとめています。
「相場どおりに書いているのに反応がない」「必須資格をどこまで求めていいか」。施工管理の中途採用を担っていてそうお悩みの方は、自社の求人票を開きながら目を通してみてください。
目次
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施工管理の求人票を分ける3つの軸
施工管理の求人票は、1枚で全ての層に届けようとすると、どの層にも届きません。文言を直す前に、何枚に分けて、それぞれ誰に向けるかを決めます。
見直す項目は5つあります。以降の章がこの表の各行に対応しています。
| 項目 | つまずくポイント | 改善策 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 畑違いの応募が集まる | 工種と構造まで書き分ける |
| 給与 | 実年収が伝わらない | 年収レンジと資格手当を並べる |
| 休日と残業 | 数字がなく信用されない | 年間平均と繁忙期を両方出す |
| 応募条件 | 1級必須で該当者がいない | 必須と歓迎を2段に分ける |
| 待遇と環境 | 好条件が伝わっていない | 立地と支援を数字で書く |
まず、この5つの項目を何枚の求人票に分けて書くかを決めます。
1. 施工管理と作業員を混ぜない
施工管理と現場作業員を1枚の求人票にまとめると、どちらにも届きません。求める資格も経験も志向も違い、見ている媒体も別だからです。
分けるのは文章だけではありません。職種名、求人ページ、掲載する媒体、訴求する内容を、それぞれ別に用意します。同じ会社が同じ時期に募集する場合でも、原稿は2本作ります。
作業員の求人には、入社後の道筋を書き添えてください。作業員として入社し、資格を取って施工管理に移るというキャリアを示しておくと、いずれ管理側に回りたい人にも届きます。
2. 工種と経験レベルで分ける
求人票は、工種と経験レベルの2軸で分けます。工種は建築、土木、管工事、電気、電気通信。経験レベルは有資格の即戦力、実務経験のみ、未経験の3段です。
全国4拠点で施工管理を募集している修繕系の建設会社は、同じ職種の求人票を「1級必須」「2級以上」「業界経験者」の3パターンで用意しています。資格レベルごとに社内の採用基準も変えています。
拠点によって求める経験値が変わることもあります。箱物の新築・改修を手がける電気工事会社では、施工管理が3名の少人数体制になっている拠点は即戦力に限定し、人数の多い拠点は工事部隊からのスタートも受け入れています。同じ職種名でも、拠点ごとに書く内容が変わります。
とはいえ、分けすぎると更新の手間が増えます。拠点数と経験レベルを掛け合わせて枚数が増えすぎるなら、まず経験レベルを2段に分けるところから始めてください。有資格の即戦力枠と、実務経験を重視する枠の2本です。この2本だけでも、必須要件の重さが違う原稿を出し分けられます。
3. 媒体ごとにターゲットを絞る
同じ会社の採用でも、媒体ごとに集まる層が違います。1つの媒体で全ての層に届けようとせず、媒体ごとにターゲットを1つに決めます。
地場の電気工事の元請では、職人向けの媒体は職人、ビズリーチは1級施工管理技士に限定、Indeedはバックオフィス、と媒体ごとに役割を分けています。同じ会社の採用でありながら、3つの媒体で狙う層を重ねていません。
現場で働く人が見る求人は、長い文章より、端的なテキストと写真、数字の組み合わせが読まれます。媒体によって表示できる文字数も画像の扱いも違うので、同じ内容でも媒体に合わせて書き分けてください。
求人票で言葉にした内容は、スカウトの一通目にもそのまま使えます。スカウトの送り方は建設業でスカウトの返信率を上げる方法にまとめています。
ここからは、5つの項目を1つずつ見ていきます。
仕事内容で書き分ける3つの項目
仕事内容は、応募の数より応募の中身を決めます。ここが曖昧なままだと、書類選考で会社と応募者の双方が時間を使います。
1. 工種と構造まで具体的に書く
仕事内容には、どんな現場の施工管理かを工種と構造まで書きます。「施工管理」「現場管理業務全般」だけでは、応募する側が自分の経験と照らし合わせられません。
書く軸は次のとおりです。工種(建築/土木/管工事/電気/電気通信)、構造と工法(RC造/S造/木造)、用途(住宅/非住宅/庁舎/店舗/工場・倉庫)、案件規模、元請か下請か、官公庁か民間か、現場のエリアと出張の有無。
非住宅の工場・事務所・倉庫・店舗を手がける中堅の建設会社では、問い合わせが来るのはマンションなどの住宅系の経験者ばかりでした。求人票に「建築施工管理」とだけ書いていたためです。求める経験は概ねが非住宅で、住宅系の経験しかない人が入ると本人が苦労するという判断でした。
同じ食い違いは、どの工種でも起きます。電気の施工管理でも、庁舎や店舗の新築・改修を担当してきた人と、通信設備やメンテナンスを担当してきた人とでは、経験の中身が違います。求人票に「電気工事の施工管理」とだけ書くと、新築の現場を任せたい会社にメンテナンス中心の経験者が応募してきます。
- NG例:建設現場の施工管理業務全般
- OK例:RC造の分譲マンション(1棟あたり3億円から4億円規模)の新築施工管理。元請として、安全・品質・工程・原価の4つを担当します
工種ごとに採用の難しさが違う理由は、建設業の人手不足の全体像で扱っています。
2. 1日の流れと並行案件数を出す
管理項目を並べるだけでは、働く姿が浮かびません。1日の流れと、1人が同時に持つ現場の数を書きます。
1日の流れは、朝の現場入りから終業までを時系列で書きます。常駐か巡回か、事務作業がどのくらいの割合か、社内で分業している業務があるかも添えてください。予算管理や行政申請を本部が持っている会社なら、それは現場に集中できる条件として伝わります。
並行案件数は、応募する側がとくに気にする数字です。理想は1人1案件で、多くても2案件までと決めている会社があります。1人1現場を基本にしている会社もあります。
案件数を書けない事情がある場合は、無理に書かないでください。代わりに、現場が重なる時期をどう配分しているかを1文入れると、同じ情報が伝わります。
3. 就業場所と変更の範囲を書く
2024年4月から、労働者を募集するときや職業紹介事業者に求人を申し込むときに、明示が必要な項目が3つ増えました。従事すべき業務の変更の範囲、就業の場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準の3つです(出典:厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」)。
このうち施工管理でつまずくのが、就業の場所の変更の範囲です。変更の範囲とは、入社直後だけでなく、将来の配置転換なども含めた、労働契約の期間中に就業する可能性のある場所を指します。「会社が定める場所」「全事業所」のような書き方では明示したことになりません。
施工管理は現場が変わる職種なので、個別の現場名を並べても書ききれません。都道府県や地域の範囲、自宅からの通勤の目安、出張の有無と期間で書いてください。
- OK例:就業場所は本社および神奈川県・千葉県内の当社施工現場。自宅から通えない現場では、期間を限って現場近くの拠点から通う形になります(その現場が終われば、また自宅から通える現場に戻ります)
ここは応募の質にも関わります。エリアを書き切っておくと、通えない人が最初から応募しなくなり、書類選考の手間が減ります。3つ目の有期労働契約の更新基準は、期間の定めのない正社員を募集する場合には該当しません。
仕事内容は、応募する側が自分の経験と重ねられるところまで書けば足ります。最初の一歩は、直近で完了した現場を3件書き出し、工種・構造・用途・請負金額を並べることです。そのまま仕事内容の欄になります。
年収レンジと資格手当の見せ方
給与で応募が止まる理由は、金額の高低より情報の欠けにあります。月給だけでは、実際に受け取る額が伝わりません。
月給ではなく年収レンジで書く
給与は年収のレンジで書きます。月給の表記だけでは賞与や昇給を含めた金額が分からず、応募する側は他社と比べる前に画面を閉じます。
併記する要素は、年収の下限と上限、賞与の回数と実績の月数、昇給の頻度、決算賞与の有無です。資格手当は等級ごとに金額を書いてください。1級と2級で額が違う会社が多く、技士補にも手当を置いている会社もあります。
- NG例:月給25万円〜
- OK例:年収420万円から680万円(賞与年2回・前年度実績4.5ヶ月分を含む)。資格手当は1級施工管理技士と2級施工管理技士で額を分けて支給
上限額は到達者の年収で決める
上限額は、その等級に実際に到達した社員の年収から決めます。高く見せても低く見せても、実態から離れた時点で不利に働きます。
求人票の年収レンジを500万円から1100万円と幅広く書いている会社があります。実際の水準は700万円前後に集中し、850万円を超えるのは管理職の枠だけです。ベテランの有資格者の希望額と自社の水準が合わず、面接まで進んでも条件のすり合わせで止まります。
逆の失敗もあります。上限の表記が実態より低く、その額で判断されて関心につながらないまま、上限を見直した会社もあります。求人票の上限は、応募する側が自分の到達点として読む数字です。
そのため、根拠は直近3年の実績に置いてください。その等級に到達した社員が1人もいない金額は、上限に書きません。
固定残業代は内訳と超過分を書く
固定残業代(みなし残業)を含む金額を、内訳なしで載せないでください。金額の意味が伝わらないだけでなく、媒体の審査でも問題になりやすくなります。
書く内容は3つです。基本給と固定残業代を分けた額、固定残業代が何時間分か、その時間を超えた分は別に支給すること。
- NG例:月給30万円(固定残業代含む)
- OK例:月給30万円(基本給26.2万円+固定残業代3.8万円/20時間分。20時間を超えた時間外労働は別途支給)
設定した時間だけが独り歩きすることもあります。みなし残業を45時間で設定していながら実態は月30時間、という会社では、45時間という数字だけが読まれて残業の多い会社だと受け取られていました。実態が設定を下回っているなら、そのことも書いてください。
手当を含めた金額で見せた結果、基本給の額が伝わらず、内定を出す段階で説明をやり直した会社もあります。基本給と手当は、それぞれの金額を分けて書いてください。
給与は、金額の高さより内訳の細かさで読まれます。最初の一歩は、直近3年に入社した施工管理の初年度年収を並べ、下限と上限を出すことです。
休日と残業の数字の出し方
休日と残業は、数字がないと読み飛ばされます。年間の平均だけでも足りません。
年間休日と残業時間を数字で書く
年間休日の日数と残業時間を、数字で書きます。「残業少なめ」「アットホームな職場」は、裏づけがないと判断材料になりません。
残業を役員の責任で管理し、全社平均を月20時間台に抑えている会社があります。ところが、その仕組みが求人票から伝わっていません。数字ではなく「残業は少なめです」という一文しか書いていないためです。条件が良くても、数字にしていなければ他社と区別されません。
働き方と定着の関係は、施工管理の若手が早期に辞める原因と対策でも扱っています。
完全週休2日と4週8休は別物
完全週休2日制、週休2日制、4週8休は、それぞれ別の制度です。年間休日の日数が近くても休みのリズムが違うので、混ぜて書くと入社後に食い違いが出ます。
完全週休2日制は、毎週かならず2日の休みがある形です。週休2日制は、月に1回でも2日休みの週があれば表記できます。4週8休は、4週間で合計8日の休みという意味で、毎週2日とは限りません。国は4週8休以上を週休2日として扱っています(出典:国土交通省「週休2日の取組方針について」)。
建設業では、4週8休以上を確保できている工事は公共工事で約3割から4割、民間工事では約1割強にとどまります(出典:国土交通白書2025)。実態が4週8休なら、そのまま書くほうが入社後のずれを防げます。
- OK例:完全週休2日制(土日)、祝日、年末年始。年間休日124日。現場都合の土曜出勤は月1回程度で、振替休日を取得
繁忙期の実数もセットで出す
年間平均だけを書くと、繁忙期の実態が分からないまま残ります。平均と繁忙期の両方を出すほうが受け止められやすくなります。
全社平均が月19時間台で、繁忙期は30時間から40時間まで上がる実態も開示している会社があります。20時完全退社を運用ルールにしている会社もあります。数字を隠さずに出したほうが、入社後の食い違いも減ります。
- OK例:残業は全社平均で月20時間前後。繁忙期は30時間から40時間になる月もありますが、20時までに退社するルールで運用しています
休日と残業は、数字がないと他社と比べてもらえません。最初の一歩は、昨年度の平均残業時間と年間休日を勤怠データから出すことです。
必須条件と歓迎条件の分け方
応募条件は、書き方ひとつで応募できる人がいなくなります。必須をどこまで絞るかが分かれ目です。
資格は必須でなく歓迎に置く
「1級施工管理技士必須」で求人票を出すと、該当する人がほとんど応募してきません。厚生労働省「一般職業紹介状況」(2026年3月分)によると、建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.65倍です(常用〈パート含む〉)。全職業の平均1.10倍の、およそ5倍にあたります。1級を持つ方は現職にとどまることが多く、市場に出てきません。
分け方の例を挙げます。
- NG例:【必須】1級施工管理技士、施工管理の実務経験10年以上
- OK例:【必須】施工管理の実務経験3年以上、普通自動車免許/【歓迎】1級・2級施工管理技士、担当した構造・用途の経験、協力会社との折衝経験
この切り分けだけで、応募できる人の範囲が変わります。必須に実務経験と免許は残しているので、まったくの畑違いまで広がるわけではありません。
有資格者に絞ると応募できる人がいなくなるため、資格を必須にせず実務経験で幅広く面接し、入社後に資格を取らせる会社が増えています。第2種と実務経験で採用し、半年で上位資格を取得した例もあります。入社後の支援の設計は施工管理の資格取得支援制度の作り方にまとめています。
年齢の線引きは求人票に書かない
社内で持っている年齢の線引きと、求人票に書ける表現は別のものとして考えます。
社内の基準を持つこと自体は普通のことです。資格なしは35歳まで、2級以上は45歳まで、1級は55歳から58歳程度まで、と3段の基準を持っている会社があります。定年を65歳に置いたうえで、長く働ける年齢から逆算した設計です。
一方で、募集や採用については年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが原則になっています(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第9条)。求人票には年齢ではなく、求める経験の年数や担当してもらう役割を書いてください。
上限年齢を書ける例外もあります。長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集する場合です。ただし職業経験を不問とし、新規学卒者と同等の処遇にすることが条件になります(出典:厚生労働省「年齢にかかわりない募集・採用のために」)。経験者を採る求人では使えません。
自社の募集が例外に当たるかどうかは、募集内容によって変わります。判断に迷う場合は、掲載前に労働局やハローワークに確認してください。
未経験は教育の中身まで書く
「未経験歓迎」だけでは、どんな人に来てほしいのかが読み取れません。教育期間、OJTの長さ、資格取得支援の中身まで書きます。
10日間の学習期間と、半年から1年のOJTを用意し、未経験で入った人の9割以上が定着している会社があります。慣れるまでは単独で現場を持たせません。この中身を書いておけば、未経験で応募する側も入社後の道筋を描けます。
未経験の募集を出すと、業界の理解がないまま応募が集まりやすくなります。歓迎条件に「建設・建築の経験が少しでもあること」を入れておくと、入社後の定着につながります。未経験採用の設計は施工管理を未経験から採用して育てる方法で扱っています。
「未経験可」と「経験必須」を同じ原稿に併記しないでください。条件が矛盾している求人票は、判断されないまま閉じられます。
必須に並べる条件を減らすねらいは、応募数を増やすことではありません。いま資格がなくても、入社後に取って活躍できる方に応募してもらうことです。最初の一歩は、必須欄に入っている資格を歓迎欄に移すことです。
給与以外で選ばれる4つの条件
給与の額では、元請や大手のほうが強いです。ここでは、金額以外で選んでもらうために書ける4つの条件を扱います。
1. 立地を補う社用車と住宅手当
立地は短期で変えられません。隠すより、移動と住まいの負担を会社がどう減らすかを書くほうが判断してもらえます。
埼玉に拠点を持つ会社では、都内在住者からの応募がほとんどなく、近隣県に住む人に的を絞っています。神奈川の湘南エリアの会社は、横浜など人材の獲得競争が激しい地域と競合せず、近隣に住んでいて転勤を避けたい人に絞って募集しています。立地を不利と考えるより、その立地で通いやすい人を狙うほうが早く決まります。
書く項目は、社用車の1人1台貸与と通勤利用の可否、駐車場費用の負担、住宅手当の額、直行直帰の可否、寮や社宅、引越しのサポートです。
- OK例:社用車を1人1台貸与(通勤利用可・駐車場費用は会社負担)。現場への直行直帰が基本で、本社への出社義務はありません
2. 並行案件数と社内の分業体制
1人が持つ現場の数と、社内で分けている業務を書きます。負荷が読めることが判断材料になります。
前の章では仕事の中身として触れましたが、ここでは負荷の軽さという条件として見せます。1人1案件を守れているなら、給与以外で差がつく条件になります。
書く項目は、1人あたりの担当現場数、常駐か巡回か、現場代理人と補助の体制、本部が持っている業務(予算管理・行政申請・書類作成)です。施工管理の業務を社内で分業し、現場の業務に集中できる体制を作っている会社もあります。
3. 資格取得支援と昇格までの年数
「資格取得支援あり」だけでは中身が分かりません。負担する費用の範囲と、勉強時間をどう確保するかを書きます。あわせて昇格までの年数も出してください。
書く項目は、受験費用・講習費用・合格報奨金の負担範囲、勉強時間の業務調整、資格手当の額、現場代理人や所長になるまでの年数です。試験前に部門長が業務時間を調整して勉強時間を確保している会社もあります。費用だけでなく時間の支援まで書くと、実際に取れる環境だと伝わります。
- OK例:受験費用と講習費用は会社が全額負担。試験前は部門長が業務時間を調整して勉強時間を確保します。現場代理人までの目安は入社から3年、所長までは6年です
4. 協力会社との関係と社員の声
協力会社との関係や人間関係の良さは、数字にしにくい条件です。会社の主張として書くより、いま在籍している社員の言葉として書くほうが伝わります。
協力会社との関係の良さが転職の決め手になったと採用担当が話していた会社があります。継続して取引している職人と組むため現場の負担が小さい、という会社もあります。
手順は決まっています。求人票を書く前に、在籍している施工管理の社員に「なぜこの会社を選び、続けているのか」を聞いてください。その言葉を求人票の冒頭と、スカウトの一通目に使います。条件を並べるほど根拠を求められるので、社員の言葉とセットで見せてください。
待遇と環境は、制度があっても書いていなければ伝わりません。最初の一歩は、社用車と住宅手当の現行ルールを総務に確認することです。
求人票の3つのNG表現
書き足す話の次は、外す話です。法令で書けない条件と、読んでも判断できない条件の両方を点検します。
1. 年齢・性別のNGワード
募集や採用で年齢や性別を限定する表現は、原則として書けません。国籍や出身地の限定も同じです。
年齢については労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第9条、性別については雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第5条が根拠になります。
- NG例:30歳までの男性、若手男性スタッフ募集
- OK例:施工管理の実務経験3年以上
ハローワークや求人媒体では、審査で掲載できなくなる表現もあります。基準は媒体ごとに違うので、掲載前にそれぞれの規定を確認してください。
2. 実態より良く見せる表現
実態と違う条件を書くと、面接や入社後に食い違いが出ます。求人情報を的確に表示するという観点でも問題になります。
点検する箇所は、年収の上限、固定残業代の設定時間、年間休日、「転勤なし」の範囲、職種名と実際の業務です。
職種名と業務が離れている例があります。募集の名称は施工管理の統括ですが、実際の業務は協力会社の体制づくりで、現場の施工管理ではありません。名称から想像する仕事と中身が違うと、応募した人と会社の双方で見込みがずれます。
求人票の管理を本社の人事部が持っていて、現場の実態が反映されないまま古い内容が残っているケースもあります。求人票を誰が更新するかを決めておいてください。現場の条件が変わったときに直せる人がいないと、実態との差が開いていきます。
3. あいまいで判断できない条件
「要相談」「経験により応相談」「やる気のある方歓迎」は、読んだ人が自分に合うかどうかを判断できません。書かないのと同じ扱いになります。
言い換えの方向は決まっています。「給与は経験により応相談」はレンジと決定要素を書く。「やる気のある方」は求める経験と役割を書く。「アットホームな職場」は人数構成と現場体制を書く。
媒体によっては文字数が足りず、全ての条件を書ききれないこともあります。その場合は優先する項目を決めて絞ってください。ただし労働条件の明示は、原則として初回の面接までに全て行う必要があります。求人票に書ききれない分は、面接の前に別途伝える段取りを組んでおきます。
掲載前に確認する7項目
ここまでの5つの項目と表記の点検を、1つのリストにまとめます。求人票を媒体に出す前に、上から順に確認してください。
- 工種・構造・用途・案件規模が書かれているか
- 就業場所と変更の範囲が具体的に書かれているか
- 年収レンジと資格手当の額が入っているか
- 固定残業代の内訳と超過分の扱いが書かれているか
- 年間休日と残業時間が数字で書かれているか
- 必須条件に資格が入っていないか
- 年齢・性別を限定する表現が残っていないか
工種ごとに1本分の例文を見たい場合は、施工管理の求人票の例文集にまとめています。
求人票を直しても応募が来ないとき
求人票を直しても応募が動かないことがあります。原稿、媒体、条件のどれが原因かを順番に確かめます。
原稿・媒体・条件を順に確かめる
確かめる順番を決めておくと、手戻りが減ります。
1. 表示回数が伸びていない場合は、媒体と職種名を見直します
2. 表示はあるのに応募がない場合は、条件と原稿を見直します
3. 応募はあるのに合わない場合は、工種とエリアの書き方を見直します
判断に使うのは、媒体の管理画面で見られる表示回数・クリック数・応募数の3つです。他部署に聞かなくても、担当者が単独で確認できます。
目安として、地場の建設会社でIndeedを運用したとき、月間の表示回数が2万回台、クリックが200台、応募が3件というレンジでした。1件の応募に対して表示は数千回必要になる計算です。この水準を大きく下回っているなら、原稿ではなく媒体側の設定を先に疑ってください。
選考の受けやすさを見直す
求人票の条件が整っていても、選考の受けにくさで辞退が起きます。選考の流れも、求人票に書く条件の1つです。
書く項目は、面接の回数、面接の場所(オンラインか対面か)、面接を実施できる時間帯、応募から一次面接までの日数です。
最終面接だけ遠方の本社での対面が必須という設計で、遠方の候補者の辞退が起きていた会社があります。面接を原則1回にして、特定の拠点だけ2回にしている会社もあります。
在職中の方が受けやすい形にするなら、一次はオンライン、最終だけ対面という2段階が組みやすくなります。この流れを求人票に書いておけば、有給を何回取ることになるかが応募の前に分かります。
結果を伝えるまでの日数も、求人票に書いておけます。最終面接のあとに連絡が空くと、現職からの引き止めで気持ちが離れます。何営業日以内に伝えるかを1行入れておいてください。
スカウトと人材紹介に切り替える
媒体に掲載して待つだけでは、施工管理の経験者に届きません。求人票で言葉にした内容は、そのままスカウトの一通目に使えます。掲載した初週に集中して送ると返信が続きやすく、ビズリーチでは初週におよそ100通を送り、週に1件から2件の返信を確保するペースが目安です。
自社のスカウトでも出会えない方に絞って人材紹介を使うと、費用の見合いが取りやすくなります。手数料の相場と、契約前に確認しておくことは『施工管理の人材紹介|手数料相場と本当に紹介が来る選び方』、予算の組み方は施工管理の採用手法別の予算配分にまとめています。
まとめ
施工管理の求人票は、汎用の書き方をなぞるだけでは応募が動きません。文章のうまさより、書いた数字が現場の実態と合っているかで差がつきます。
- 求人票は1枚にまとめず、工種と経験レベルで分けて出す
- 仕事内容は、応募する側が自分の経験と照らし合わせられる粒度まで書く
- 年収の上限は、実際にその額に届いた社員がいる範囲で書く
- 休日と残業は、繁忙期の数字まで出したほうが信用される
- 資格を必須にすると、応募できる人がいなくなる
- 給与で並ばなくても、立地の補い方と現場の負荷で選んでもらえる
- 年齢・性別の限定と、あいまいな条件は外す
まずは自社の求人票を開いて、5つの項目のうち数字が入っていない項目を1つ見つけてください。そこが最初に直す場所です。それでも応募が動かないときは、原稿、媒体、条件の順に確かめます。
求人票を直していくと、自社の条件が市場のどのあたりにあるのかが分からなくなります。年収レンジの上限をどこに置くか、繁忙期の数字をどこまで出すか、工種と経験レベルをどこで分けるか。他社が同じ職種をいくらでどう募集しているかが見えないと決めきれません。TEAM-Xは施工管理に特化した人材紹介を行っており、首都圏と関西で建設会社の採用に関わっています。求人票の要件設計から、媒体ごとの出し分け、スカウトや人材紹介の使い分けまでご一緒できます。自社の求人票を施工管理向けに整え直したい方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. ハローワークなど文字数の少ない媒体では、何を優先して書けばいいですか?
A. 職種名の工種、勤務エリア、年収レンジ、必須要件の4点を優先してください。この4点が欠けていると、読んだ人が自分に合うかを判断できないまま閉じてしまいます。文字数が足りない場合は、詳細を自社の採用サイトや別の資料に置き、求人票からそこへ案内する形を取れます。ただし労働条件の明示は原則として初回の面接までに全て行う必要があるため、「詳細は面談時にお伝えします」で済ませられる範囲には限りがあります。
Q. 工種や経験レベルごとに求人票を分けると、管理が大変になりませんか?
A. 枚数を増やすほど更新の手間は増えます。最初から拠点数と経験レベルを掛け合わせて細かく分けるのではなく、まず経験レベルを2段に分けるところから始める方法があります。有資格の即戦力枠と、実務経験を重視する枠の2本です。この2段だけでも、必須要件の重さが違う原稿を出し分けられます。分けた後は、求人票の更新を誰が持つかを決めておくと、実態と離れた古い内容が残りにくくなります。
Q. 年収レンジの上限を引き上げると、既存社員から不満が出ませんか?
A. 求人票の上限額は、実際にその等級に到達した社員の年収から決めるのが基本です。到達者がいない額を上限に書くと、面接で見込みがずれるだけでなく、社内でも説明がつきません。上限を上げたい場合は、先に等級と評価の基準を社内で整えてから求人票に反映する順番になります。今いる社員の年収を先に見直す会社もあり、上限の見直しは求人票だけの作業では終わらないと考えておいたほうが進めやすくなります。
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この記事の監修者
高谷 匠TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、関西の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任

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