人材紹介会社に職人の採用を相談したら、「職人はご紹介できません」と断られた。施工管理は紹介で決まったのに、なぜ職人だけ対象外なのか。同じところで足が止まった建設会社は珍しくありません。
職人を有料で紹介できるのは、厚生労働大臣の許可を受けた事業主団体だけです。その団体は全国に4つあり、使うには2つの条件があります。求人を出す側か求職者のどちらかが団体の構成員であること、そして期間の定めのない雇用で迎えることです。一般の紹介会社が断るのは職業安定法の禁止規定によるもので、別の会社に頼み直しても結果は変わりません。
この記事では、4団体の一覧と見分け方、使うための2つの条件、紹介会社が断る法律上の線引き、有料の紹介以外で職人を迎える方法を順に取り上げます。職人の採用手段が見つからない建設会社の経営者・採用担当の方に向けた内容です。「結局うちはどこに頼めばいいのか」とお悩みの方は、ぜひ目を通してみてください。
目次
職人を紹介できるのは許可を受けた全国4団体
職人を有料で紹介できるのは、建設労働者の雇用の改善等に関する法律(建設雇用改善法)にもとづいて厚生労働大臣の許可を受けた事業主団体だけです。一般の人材紹介会社には頼めません。探す相手は紹介会社ではなく団体です。
許可を受けた団体は全国に4つ
厚生労働省が公表している建設業務有料職業紹介事業の許可団体は、次の4つです(2026年9月1日時点の厚生労働省の公表による)。
- 一般財団法人みやぎ建設総合センター
- 一般社団法人沖縄県建設業協会
- 一般社団法人全国建設人材協会
- 一般社団法人建設技能者転職支援協会
この許可を持つ団体を通せば、とび工・鉄筋工・型枠工・大工などの職人を、有料の人材紹介で採用できます。依頼先を選ぶときに見るのは、建設業に強いかどうかではなく、この許可を持っているかどうかです。
2005年の制度創設から約20年で4団体です。4団体目の一般社団法人建設技能者転職支援協会は2026年8月20日に許可を受け、9月1日に事業を開始しました。この協会はTEAM-Xのグループ法人で、代表理事は当社取締役COOの高谷匠が務めています。
許可番号は27-ケ-30001、取扱地域は国内全域です。取扱職種はとび工・土工・鉄筋工・型枠工・左官工・配管工・電気工事士・大工・解体工などの14職種です(出典:TEAM-X株式会社・一般社団法人建設技能者転職支援協会のプレスリリース)。
ここで1つ注意があります。法改正で職人の紹介が解禁されたわけではありません。制度は以前からあり、2026年9月に4団体目が事業を開始しただけです。「解禁されたので紹介できます」という説明を受けたときは、その団体が許可を持っているかを確かめてください。
一般の紹介会社が許可を取れない理由
許可は二段構えで与えられます。事業主団体が雇用の改善などに関する実施計画を作って第12条第1項の認定を受け、そのうえで第18条第1項の許可を受けた団体だけが実施できます(出典:e-Gov法令検索「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」)。株式会社の人材紹介会社が許可を取って参入できる仕組みではありません。
団体の側の要件も重くなっています。厚生労働省は事業主団体の要件として、構成員の数が30以上で、かつその8割以上が建設業法第3条第1項の許可を受けた建設事業を主たる事業とする事業主であることを示しています。
財産の要件もあります。基準資産額が500万円に事業を行う事業所数を掛けた額以上、事業資金としての自己名義の現金・預金が150万円に、2つ目以降の事業所1つにつき60万円を加えた額以上です。選べる団体が急に増えることは期待せず、いまある4団体で自社が使えるかを見てください。建設業で人材紹介を使うときの全体像は、別の記事で扱っています。
許可番号の「ケ」で見分ける
職人を紹介できると言う相手に出会ったら、許可番号を聞いてください。通常の有料職業紹介の許可番号には「ユ」が入りますが、建設業務有料職業紹介事業の許可番号には「ケ」が入ります。
「ユ」の許可しか持っていない会社は、施工管理や設計は紹介できても、職人は紹介できません。団体名が上の4つに入っているかを、厚生労働省のページと照らすのがいちばん確実です。
認可団体を使うための2つの条件
許可を持つ団体なら、どの会社でも職人を紹介してもらえるわけではありません。求人側か求職側のどちらかが構成員であること、期間の定めのない雇用で迎えることの2つが前提です。
求人側か求職側のどちらかが構成員であること
厚生労働省は、この事業の対象について「求人者または求職者が事業主団体の構成員であることが必要になります」と説明しています。構成員である求職者とは、一人親方や構成事業主に常時雇用されている方です。
法律の定義も同じです。建設雇用改善法第2条第7項は、事業主団体が「当該事業主団体の構成員を求人者とし、又は当該事業主団体の構成員若しくは構成員に常時雇用されている者を求職者とし」あっせんすることを、建設業務職業紹介と定めています。求人側と求職側の双方が構成員である必要はありません。
とはいえ、求人を出すのは自社です。自社が構成員になるほうが確実で、話も早く進みます。確認する順序は3つです。
- 自社の所在地と工種が、その団体の取扱地域・取扱職種に入るか
- 入会の条件と費用
- 構成員として求人を出せる立場になれるか
団体によって対象は違います。特定の都道府県の建設業協会もありますし、全国の建設事業主を対象にしている団体もあります。入会条件・取扱職種・対象地域は、各団体の公式サイトで確かめてください。
期間の定めのない雇用で迎えること
もう1つの前提は、雇用の形です。厚生労働省は、この事業を「建設業務に就く職業の雇用関係(期間の定めのない労働契約に限る)の成立を有料であっせんすること」と説明しています。法律の定義も同じ文言です。
繁忙期だけ団体経由で来てもらう、という使い方はできません。短期の増員や有期契約での受け入れは対象外です。正社員として長く迎える採用であれば使えます。
手数料は団体ごとに違います。有料職業紹介の手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表にもとづいて徴収する仕組みです(職業安定法第32条の3第1項)。契約前に、料率の決まり方と、早期離職したときの返戻の期間と率を書面で確かめてください。なお、求職者から手数料を取ることは同条第2項で禁じられています。働く方に費用の負担は発生しません。
紹介会社が職人を断る法律上の理由
一般の紹介会社が職人を断るのは、職業安定法が建設業務に就く職業への有料の職業紹介を禁じているためです。現場で手を動かす仕事が建設業務に当たり、施工管理や設計は当たりません。派遣も同じ線で禁じられています。
職業安定法が建設業務への有料紹介を禁じている
根拠は職業安定法第32条の11第1項です。「有料職業紹介事業者は、港湾運送業務(中略)に就く職業、建設業務(中略)に就く職業(中略)を求職者に紹介してはならない」と定めています(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」)。
紹介会社の方針でも業界の慣習でもなく、法律の禁止規定です。一方で、禁止の対象は有料職業紹介事業者による紹介行為です。職人の求人を出すこと自体、職人を採用すること自体は禁じられていません。自社で募集して直接雇う道は、はじめから開いています。
派遣会社に頼む道も塞がっています。労働者派遣法第4条第1項第2号が建設業務への労働者派遣を禁じ、同条第3項は派遣を受ける側についても、その指揮命令の下で建設業務に従事させてはならないと定めています(出典:e-Gov法令検索「労働者派遣法」)。依頼した建設会社の側も規制の対象です。
建設業務に当たる仕事と当たらない仕事
線引きは職業安定法第32条の11第1項のカッコ書きで決まります。自社の求人職種を表で追ってください。
| 職種 | 建設業務 | 有料の職業紹介 | 労働者派遣 |
|---|---|---|---|
| とび・大工・鉄筋工 | 当たる | 使えない | 使えない |
| 解体・撤去の作業員 | 当たる | 使えない | 使えない |
| 施工管理 | 当たらない | 使える | 使える |
| 設計・CADオペレーター | 当たらない | 使える | 使える |
| 現場事務・経理・営業 | 当たらない | 使える | 使える |
条文の定義は「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」です。厚生労働省の職業紹介事業の業務運営要領は、これを「建設工事の現場において、直接にこれらの作業に従事するものに限られる」と説明しています(出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」)。同じ要領は、施工計画を作り工程・品質・安全を管理する施工管理業務について、建設業務に該当せず、有料職業紹介事業を行うことができると書いています。
ここが「施工管理は紹介で決まったのに職人は断られた」という体験の答えです。紹介会社が自社を選ばなかったのではなく、取り扱える職業の範囲が法律で切られていました。人材紹介で採用するときの手数料の相場と紹介会社の見極め方は、別の記事でまとめています。
施工管理の派遣には但し書きが付きます。厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領は、工事現場ごとに置く専任の主任技術者・監理技術者は労働者派遣の対象にならないと述べています(出典:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。請負業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある方を置くことになっているため、配置技術者の枠を派遣で埋める設計はできません。
判断するのは職種名ではなく、実際にしている作業です。求人票の職種名が「施工管理」でも、実態が現場作業中心なら建設業務に当たる可能性があります。迷ったときは、都道府県労働局の需給調整事業を担当する部門に照会してください。連絡先は厚生労働省の需給調整事業関係業務担当窓口一覧にまとまっています。
禁止の背景にある3つの事情
規制が守ろうとしているのは、建設現場で働く方の立場です。
重層下請で指揮命令の関係が見えにくい
建設の現場は、元請から一次下請へ、さらにその下へと工事が何層にも分かれて発注されます。現場にいる方が誰に雇われ、誰の指示で動いているのかが外から見えにくく、紹介が入るとさらに追いにくくなります。職業安定法第44条が、労働者供給を受けて「自らの指揮命令の下に労働させてはならない」と受け入れた側の行為まで禁じているのも、この指揮命令の所在を問題にしているためです。
手数料の形で中間搾取が起きやすい
労働基準法第6条は「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」と定めています(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)。有料職業紹介は許可制のもとに置かれた例外で、建設業務は重層下請の下で仲介が重なりやすいため、その例外からさらに外されています。
工事の繁閑で雇用が不安定になりやすい
工事は着工と竣工で人の要不要が大きく振れます。認可団体の紹介が期間の定めのない雇用に限られているのは、繁忙期に集めて閑散期に手放す運用を防ぐためです。
有料の紹介以外で職人を迎える方法
有料の紹介が使えなくても、職人を迎える道は3つ残っています。無料の職業紹介、労働組合による労働者供給、そして同じ団体の構成員どうしで職人を一時的に送り出し合う就業機会確保事業です。
無料職業紹介なら建設業務でも紹介できる
第32条の11が名指ししているのは有料職業紹介事業者だけです。無料職業紹介事業には、この制限がかかりません。
厚生労働省の職業紹介事業の業務運営要領は、この点を言い切っています。第33条の許可を受けた無料職業紹介事業者と第33条の3の届出をした無料職業紹介事業者は、「原則として全ての職業について無料職業紹介事業を行うことができる」と書かれています。職人も含まれます。
使える窓口は3つに分かれます。
ハローワーク
公共職業安定所は国が行う無料の職業紹介で、職種の制限がありません。費用がかからないため、まず受け皿として押さえる先になります。
厚生労働大臣の許可を受けた法人・団体
職業安定法第33条第1項は、無料の職業紹介事業を行う者は厚生労働大臣の許可を受けなければならないと定めています。業界団体や一般社団法人が無料で紹介を行う場合は、この許可が必要です。
学校・特別の法律により設立された法人
届出で足りるのはここだけです。第33条の2は学校(小学校・幼稚園を除く)、専修学校、職業能力開発促進法にもとづく施設などの長を対象にしています。第33条の3は「特別の法律により設立された法人であつて厚生労働省令で定めるもの」を対象にし、紹介できる範囲も、構成員を求人者とし、構成員または構成員に雇用されている方を求職者とする場合に限られます。
一般社団法人の業界団体は、届出では無料の紹介を行えません。第33条第1項の許可が必要です。「団体が届出をして無料で紹介している」という説明を受けたときは、許可か届出かを確かめてください。
労働組合の労働者供給でも人を受け入れられる
労働者供給は、職業紹介とは別の仕組みです。供給契約にもとづいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣に該当するものは含みません(職業安定法第4条第8項)。雇用関係をあっせんするのではなく、組合に籍を置いたまま供給先で働く形です。
労働者供給事業は第44条で原則禁止ですが、第45条により、厚生労働大臣の許可を受けた労働組合等が無料で行う場合に限って認められています。第45条には、有料職業紹介の第32条の11や労働者派遣法第4条のような、業務ごとの除外規定がありません。建設の職種も対象になります。厚生労働省の労働者供給事業業務取扱要領の職業分類表にも、建設躯体工事の職業や電気工事の職業が載っています(出典:厚生労働省「労働者供給事業業務取扱要領」)。
許可を受けた組合が自社の地域にあるかどうかは、都道府県労働局の需給調整事業を担当する部門で確かめられます。
構成員どうしなら職人を一時的に受け入れられる
繁忙期に他社の職人に来てもらいたい、という場面に制度として応えるのが、建設業務労働者就業機会確保事業です。建設雇用改善法第2条第10項に定めがあります。実施計画の認定を受けた事業主団体の構成事業主が、常時雇用する職人を雇用関係を維持したまま、他の構成事業主のもとへ一時的に送り出す仕組みです(出典:厚生労働省「建設業務労働者就業機会確保事業」)。
受け入れた側の指揮命令で働いてもらえる点が、応援を請負で受ける場合との違いです。一方で、送り出す側は構成事業主ごとに厚生労働大臣の許可(第31条第1項)を受ける必要があります。許可の基準として、基準資産額が1,000万円に事業所数を掛けた額以上、自己名義の現金・預金が800万円に事業所数を掛けた額以上といった財産の要件が示されています。
送り出せる量にも上限があります。事業年度ごとに、送出人数は送出事業主が雇用する労働者の5割以下、送出期間は所定労働日数の5割以下です。送り出される職人は、期間の定めのない雇用かそれと同等と認められる雇用で、社会保険と労働保険が適用されている方に限られます(出典:厚生労働省「建設業務労働者就業機会確保事業」の概要資料)。
受け入れられるのは、同じ実施計画に記載された構成事業主どうしだけです。採用ではなく人手の山を越えるための仕組みなので、自社が加入している団体が実施計画の認定を受けているかを、団体か都道府県労働局で確かめるところから始めてください。
知らずに違反しやすい3つのケース
職人の紹介が禁止されていることを知らないまま、実務のなかで規制に触れてしまう形があります。自社に当てはまるものがないか確かめてください。
職人の紹介に対して手数料を払っている
名目が「紹介料」でも「謝礼」でも「協力金」でも、雇用のあっせんに対する対価であれば、有料の職業紹介に当たりえます。職業安定法第4条第2項は、無料の職業紹介を「いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介」と定めています。名前の付け替えでは外れません。
許可を持たない個人や法人から人を紹介してもらい、金銭を渡す形は、無許可の有料職業紹介として問題になります。職業安定法第64条は、無許可の有料職業紹介と建設業務の紹介のどちらについても、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を定めています。
この罰則が向くのは、紹介した側です。同条が罰するのは「その違反行為をした者」で、手数料を払った建設会社が同条で処罰されるわけではありません。ただし、取引を続ければ相手に違反を重ねさせます。次の2つのケースのように、受け入れた側が条文の対象になる形も別にあります。
社員への紹介報奨金は別の枠にある
自社の社員が知人を連れてきたときに払う報奨金は、これに当たりません。職業安定法第36条第1項が許可を求めているのは、「その被用者以外の者」に報酬を与えて労働者の募集に従事させる場合です。自社の社員は被用者にあたるため、この委託募集の枠に入りません。要領も、文書募集と直接募集は原則自由で、第三者が介在する委託募集だけを許可制・届出制にしていると説明しています。社内のリファラルの制度は、そのまま続けて構いません。
一人親方に自社の社員と同じ指示を出している
請負として発注しているつもりでも、作業の進め方や時間を自社が細かく指示していれば、実態は労働者供給や労働者派遣と判断されることがあります。
基準は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)にあります(出典:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」)。請負として扱われるには、次の2つを両方とも満たす必要があります。
自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること
- 業務の遂行方法と、遂行に関する評価について、自ら指示・管理している
- 始業・終業時刻、休憩、休日、時間外労働について、自ら指示・管理している(単に把握するだけでは足りない)
- 服務上の規律に関する指示と、配置の決定・変更を自ら行っている
請け負った業務を自己の業務として独立して処理していること
- 業務の処理に要する資金を、すべて自らの責任のもとで調達して支払っている
- 業務の処理について、民法・商法その他の法律に規定された事業主としての責任をすべて負っている
- 自らの責任と負担で準備・調達した機械・設備・資材で処理している、または自ら行う企画や自己の専門的な技術・経験にもとづいて処理している(業務上必要な簡易な工具を除く)
同告示第3条は、形だけ整えても、法律違反を免れるために故意に偽装したものであれば、労働者派遣事業にあたると定めています。点検するのは契約書の文言ではなく、現場での指示の出し方です。
一人親方への発注は、建設業で日常的に行われています。線引きを知らないまま続けている会社は珍しくありません。まず自社の指示の出し方から見直してください。
応援の職人に自社が直接指示を出している
繁忙期に協力会社から応援を受けるとき、その方が誰に雇われ、誰の指示で働くのかが曖昧になりやすいです。
応援元との契約が請負なら、現場での指示は応援元の職長を通す形が原則です。自社が直接指示を出す運用が常態化すると、請負から外れます。外れた先がどの条文になるかは、応援に来た方が応援元に雇われているかどうかで変わります。
雇われている場合は労働者派遣にあたります。労働者派遣法第2条第1号が、自己の雇用する労働者を雇用関係の下で他人の指揮命令を受けて働かせることを労働者派遣と定めているためです。
建設業務への派遣は禁止されているため、応援元は第4条第1項第2号に違反し、第59条第1号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。受け入れた自社は第4条第3項に違反し、厚生労働大臣の勧告を受け、従わなければその旨を公表されます(第49条の2)。
雇われていない場合、たとえば一人親方に来てもらっている場合は、職業安定法第44条の労働者供給になります。こちらは罰則の向き先が違います。供給を受けて自らの指揮命令の下に働かせた側も、第64条第10号により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。応援元だけの問題ではありません。
明日からできる点検は1つです。応援に来た方に対して、始業時刻・作業順序・休憩のタイミングを自社の社員が直接指示していないかを、現場ごとに確かめてください。あわせて、その方が応援元に雇われているのか一人親方なのかを、現場ごとに把握しておいてください。自社の指示で動いてもらう必要があるなら、前の章の就業機会確保事業が制度上の受け皿になります。
自社で職人を採用する組み立て方
認可団体を使うかどうかにかかわらず、自社でやることは残ります。手を付ける順に3つ整理します。
無料職業紹介と求人媒体の使う順番を決める
無料職業紹介は費用がかかりません。その代わり、応募が来る速さと集まる層を自社でコントロールしにくいです。求人媒体は費用がかかりますが、掲載内容と予算で母集団の大きさを動かせます。建設特化の媒体と総合媒体では、集まる層も違います。
順序は決まります。まず無料職業紹介に登録して受け皿を作り、並行して媒体に予算を投じてください。無料の窓口だけで待つ状態が、いちばん時間を失います。
職人向けの媒体では、応募者の電話番号が出ていれば、メッセージを追加で送るより直接電話をかけたほうが面談につながっています。現場で働く方は、日中にメッセージを見られません。応募のあった当日に電話をかける運用を決めておくと、他社と競合しているときに先に話ができます。
職人経験者を施工管理の若手枠として採用する
職人としては有料の紹介を受けられませんが、施工管理として採用するなら人材紹介が使えます。この差は、採用設計に組み込めます。
2026年に100社以上の建設会社の採用担当の方から直接聞いた話のなかには、次のような動きがありました。土木の20代について、職人経験があれば施工管理未経験でも選考対象にする会社。設備施工管理で「経験3年または職人出身」を要件に置く会社。職人出身で施工管理へ移る方を、受け皿として想定している会社です。
職人の人数を増やす採用と、現場を任せられる方を増やす採用は、目的が違います。ただし後者であれば、人材紹介という手段が残っています。受け入れには図面の読み方や書類の作り方を教える期間が必要になるため、育成の担当を先に決めてから求人を出してください。
外部委託の一部を内製化して直接雇用に変える
外注していた工種の一部を自社で持ち、技術を継承する方を直接雇用する動きもあります。管工事を中心に手がける会社では、職人の高齢化と技術継承を理由に内製化を検討していました。
紹介で外から採る前提が使えない以上、いま関わっている方と長く組む発想に切り替えることになります。協力会社との関係、リファラル、未経験の育成が主軸になります。
ただし、競合も同じ方向に動いています。大手ハウスメーカーが職人の正社員化に舵を切り、地場の建設会社から職人が移る動きが出ています。待遇と生活時間で比べられる前提で、自社の条件を見直してください。
数字で見ると、躯体系の職種は施工管理より採用が難しい状況にあります。とび工や鉄筋工などが含まれる建設躯体工事従事者の有効求人倍率は7.35倍で、施工管理が含まれる建築・土木・測量技術者の5.65倍を上回ります(いずれも2026年3月・常用〈パート含む〉・全国計。出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」)。採用が難しい職種のほうが、使える手段を制限されています。
ただし、職人全体が施工管理より採りにくいわけではありません。同じ統計でも、電気工事に従事する方の倍率は施工管理を下回ります。難しさは職種ごとに違うため、自社の工種で見てください。職種別の数字と建設業の人手不足の全体像は、別の記事で扱っています。
まとめ
職人を有料で紹介できるのは、厚生労働大臣の許可を受けた全国4団体だけです。使うには、求人側か求職側のどちらかが団体の構成員であることと、期間の定めのない雇用で迎えることが前提になります。一般の紹介会社が断るのは、職業安定法第32条の11第1項が建設業務への有料の紹介を禁じているためです。
| ルート | 使えるか |
|---|---|
| 有料の人材紹介 | 使えない(職業安定法第32条の11) |
| 労働者派遣 | 使えない(労働者派遣法第4条) |
| 認可団体の有料紹介 | 使える(構成員かつ期間の定めのない雇用) |
| 無料職業紹介 | 使える |
| 就業機会確保事業 | 使える(同じ団体の構成員どうし・一時的な受け入れ) |
| 求人媒体・リファラル | 使える |
明日から動けることは3つです。許可を受けた4団体の取扱地域と入会条件を調べる。ハローワークと業界団体の無料職業紹介に登録して受け皿を作る。応援と一人親方への発注について、現場での指示系統を点検する。この順で進めると、費用をかける前に自社で採用できる範囲が見えます。
よくある質問(FAQ)
Q. 求人サイトや職人向けマッチングサービスを使うのは違法になりませんか?
A. 求人サイトへの掲載は職業紹介に当たらないため、職人の募集にも使えます。求人サイトは募集情報等提供事業という別の枠組みで、求人情報を載せて求職者に届ける役割にとどまり、雇用関係のあっせんまでは行いません。
ただし、サービスの実態によっては職業紹介と判断されます。厚生労働省の職業紹介事業の業務運営要領は、次のいずれかを事業として行う場合は職業紹介事業の許可等が必要だとしています。求人や求職者の情報について、自らの判断で選別した相手にだけ提供する、または選別した情報だけを提供すること。情報の内容を、提供相手に応じて加工すること。求職者と求人者の意思疎通を中継するときに、自らの判断で加工すること。AIによる自動的な判断でも同じ扱いです。
具体例として、求人者に代わって採用候補者の選定を行う場合、応募した時点で原則として雇用契約が成立する仕組みを設ける場合、求職者を探して就職を勧めるスカウト行為を事業として行う場合が挙げられています。職人向けのマッチングサービスには、雇用の紹介ではなく工事の請負をつなぐものも多いため、自社が使おうとしているのがどちらなのかを利用前に確かめてください。判断に迷う場合は、都道府県労働局の需給調整事業を担当する部門に問い合わせるのが確実です。
Q. 建設分野の特定技能外国人は人材紹介で採用できますか?
A. 有料の人材紹介は使えません。特定技能で受け入れる場合も現場での作業は建設業務に当たるため、職業安定法第32条の11の対象になります。受け皿になるのは無料職業紹介で、建設分野では一般社団法人建設技能人材機構(JAC)が、紹介料・手数料をとらない職業紹介サービスを行っています。
あわせて、建設分野の特定技能には4つの要件があります。建設業許可、JACへの加入、建設キャリアアップシステムへの登録、建設特定技能受入計画の国土交通大臣認定です。紹介の可否とは別に準備が必要になるため、国土交通省の特定技能制度(建設分野)のページで最新の内容を確かめてください。
Q. 職人を紹介できると言う会社があります。何を確認すれば見分けられますか?
A. 確認する点は2つです。1つ目は、有料職業紹介事業の許可を持っているかどうか。2つ目は、その許可で建設業務を取り扱えるかどうかです。通常の有料職業紹介の許可では、職人を紹介できません。
いちばん速いのは、団体名を厚生労働省のページと照らすことです。建設業務有料職業紹介事業の許可を持つ団体は、厚生労働省のページに団体名で公表されています。このリストに名前がなければ、職人を有料で紹介できる相手ではありません。
聞き方は「建設業務有料職業紹介事業の許可番号を教えてください」で足ります。通常の有料職業紹介とは別の許可で、番号も別です。本記事で挙げたTEAM-Xのグループ法人を例にすると、一般社団法人建設技能者転職支援協会の許可番号は27-ケ-30001で、TEAM-X株式会社本体が持つ有料職業紹介の許可番号27-ユ-305033とは別物です。
リストになかった場合でも、その会社が無料で紹介する形であれば話を続けられます。無料の職業紹介に建設業務の制限はかかりません。ただし「紹介料」「協力金」といった名目で金銭のやり取りが発生しないかは確かめてください。発生するなら無料ではありません。
有料でしか動かない相手だった場合は、依頼する職種を施工管理に切り替えるか、本文のまとめに挙げた3つの動きに戻ってください。
※本記事の制度情報は2026年10月時点のものです。職業安定法・労働者派遣法・建設労働者の雇用の改善等に関する法律の規定や運用は変更される場合があるため、実際の判断の前に厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」をご確認ください。
この記事の監修者
高谷 匠TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、関西の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任


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