同業がTikTokで人を集めているらしい。うちも始めるべきか。でも、踊る動画を撮るわけにもいかないし、誰が撮るのかも決まらない。建設業のTikTok採用を考えはじめた担当者から、よく聞く迷いです。
職人の採れ方は会社によって違います。足場の職人をTikTokと公式LINE、社員の紹介だけで確保できている会社があると直接聞きました。一方で、職人が10名以上足りないままの会社もあります。
応募の数を左右するのは再生数より、給料と待遇の話と、問い合わせまでの導線です。この記事では、国の事例集に載った建設会社の運用、始める前に決めておく3つのこと、未経験者400人が応募をやめる条件の上位5つと動画での答え方、SNSで募集するときの法令上の注意をまとめました。
職人の採用を任されている担当者や経営者の方で、「撮るなら、応募につながる撮り方を知ってから始めたい」と思っているなら、目を通してみてください。
目次
建設業の採用でTikTokが届く相手
TikTokで20代の若手を採用できた建設会社は、実際にあります。一方で、施工管理の採用でSNSが決め手になった会社は多くありません。まずは事例と数字を、ひとつずつ見ていきます。
半年で20代を10名前後採用した国交省の事例
国の資料に、TikTokで若手の採用につなげた建設会社が載っています。国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会がまとめた「建設産業×広報事例集」で紹介されている、滋賀県の建設会社です(出典:国土交通省「建設産業×広報事例集」)。
同社がTikTokで求人を始めたのは2024年です。それまではハローワークなどで求人を出していましたが、他社との競争で人が集まらなくなり、TikTokに切り替えました。
事例集には、始めてからの反響がこう書かれています。
- 始めて1か月で、問い合わせが30名前後あった
- その後も、毎月10〜20名から連絡が続いている
- 半年で、20代の若手社員を10名前後採用した
- 問い合わせは10〜30代の男性が最も多く、ほかの年代や女性からも来ている
なお、事例集には、採用した10名前後の職種の内訳までは書かれていません。
30代でも44.7%がTikTokを使っている
TikTokは10代や20代のもの、という印象を持っている方も多いはずです。総務省の調査では、その印象は半分だけ当たっています。
総務省情報通信政策研究所が2025年12月に13〜79歳の1,800人に聞いた調査では、TikTokの利用率は次のとおりでした(出典:総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)」)。
| 年代 | TikTokの利用率 |
|---|---|
| 10代 | 67.9% |
| 20代 | 61.5% |
| 30代 | 44.7% |
| 40代 | 42.6% |
| 50代 | 32.2% |
| 全年代 | 36.7% |
10代・20代が高いのは確かですが、30代・40代でも4割を超えています。ほかの業種から職人へ移ってくる年代にも、TikTokは届いています。
全年代の利用率は、2020年の14.9%から毎年上がり続け、2025年は36.7%になりました。ただし、どの年代でもLINE・YouTube・Instagramのほうが利用率は高く、TikTokが最も使われているSNSというわけではありません。
施工管理の採用で「最も成果につながった」SNSは5.9%
施工管理の採用では、事情が変わります。株式会社ネオキャリアが、2025年に施工管理職を10名以上中途採用した従業員1,000名未満の建設会社の採用担当者に聞いた調査があります(2026年3月実施・インターネット調査)。最も成果につながった手法を1つ選んでもらった結果(101名)は、次のとおりです(出典:株式会社ネオキャリア「施工管理職の採用に関する実態調査」)。
| 手法 | 割合 |
|---|---|
| 求人媒体 | 28.7% |
| 人材紹介 | 15.8% |
| ダイレクトリクルーティング(スカウト) | 15.8% |
| 自社採用サイト | 12.9% |
| ハローワーク | 10.9% |
| リファラル(社員紹介) | 5.9% |
| SNS採用 | 5.9% |
同じ調査では、採用の成果を高めるために「SNS等での情報発信」を整えている会社も30.4%ありました。施工管理の採用でもSNSは使われていますが、決め手になった会社は少ないということです。上位には、求人媒体と、人材紹介・スカウトが並んでいます。
施工管理の採用でTikTokの動画を使うなら、社長や現場の様子を撮った動画をスカウトに添える使い方が向いています。
ここから先は、TikTokで職人の応募を集めるための具体的な進め方です。まずは、始める前に決めておくことから見ていきます。
TikTokを始める前の準備
TikTokは求人広告と違って、投稿に掲載費はかかりません。その代わり、撮影と編集の手間がかかり、問い合わせが来るまでに時間もかかります。最初の投稿を出す前に、次の3つを決めておくと、途中で止まりにくくなります。
会社名義で作り、ログイン情報を会社で持つ
アカウントは、担当者の私用のアカウントではなく、会社の名前で新しく作ります。登録に使うメールアドレスも、担当者個人のものではなく、会社の共有アドレスにしてください。
担当者が異動したり辞めたりしたときに、アカウントごと引き継げなくなる事態を防ぐためです。パスワードは、担当者のほかにもう1人、総務か経営者が把握しておきます。
TikTokには、企業向けのアカウントの種類も用意されています。ただし、切り替えの手順や、プロフィールにWebサイトのリンクを載せられる条件は、アプリの更新で変わることがあります。作るときに、アプリの設定画面で確かめてください。
プロフィールに会社の中身と募集職種を書く
TikTokで動画を見た人は、次にプロフィールを開いて、どんな会社かを確かめます。ここで会社の中身が分からないと、問い合わせまで進みません。
プロフィールには、次の4つを短く書きます。
- 会社名
- 手がけている工事(例:住宅の内装、マンションの改修)
- 働く地域(例:大阪府内、直行直帰あり)
- いま募集している職種(例:内装工、見習い可)
公式LINEを用意しているなら、その登録リンクもここに置きます。募集を知らせる投稿には、これとは別に法令で決められた6つの情報を書く必要があります。くわしくは次の章で説明します。
投稿前に10本分のテーマを書き出す
撮り始めてから「次は何を撮ろう」と考えると、2〜3本で止まってしまいます。投稿を始める前に、10本分のテーマを書き出しておいてください。国の事例集に載った建設会社も、毎月10本を撮っていました。
テーマは、たとえば次のように並べます。
- 入社1年目の社員に、最初の月給を聞く
- 朝、家を出てから現場に着くまでを撮る
- 支給される作業着と道具を机に並べる
- 足場での安全帯の掛け方を見せる
- 社長に、どんな人に来てほしいかを聞く
どのテーマが応募につながるかは、後の「応募につながる動画の中身」でくわしく扱います。10本が書き出せたら、撮影の日を決めて、まとめて何本か撮ってしまうのが続けるこつです。
職人の応募が来るまでの導線
動画は入口にすぎません。応募が来るかどうかは、動画を見た人がどこで、どう連絡できるかで決まります。
TikTokから公式LINEへつなぐ
事例集の会社は、TikTokを見た人を会社の公式LINEへの登録に誘導しています。事例集が書かれた時点で、公式LINEの登録者は約200名でした。
職人をTikTok・公式LINE・社員の紹介で確保できている会社の話も、直接聞いています。設備やプラントの工事と足場を手がける会社で、職人の採用に紹介会社を使う必要がないといいます。
LINEを挟むのは、すぐには応募しない人とのつながりを残せるからです。公式LINEなら、登録した人に「現場見学会のお知らせ」や「求人の更新」をまとめて送れます。いまは転職を考えていなくても、次に仕事を探すときに思い出してもらえます。
TikTokで知った人の多くは、応募の前に会社のことを確かめに行きます。その受け皿になる採用サイトの作り方は、建設会社の採用サイト事例15選で扱っています。
ただし、SNSで直接募集するときは、投稿に書かなければならない情報があります。厚生労働省のリーフレットは、次の6つを投稿そのものに記載するよう求めています(出典:厚生労働省「求人企業の皆さまへ SNS等を通じて直接労働者を募集する際には」)。
- 会社名
- 住所(ビル名・階数・部屋番号まで)
- 連絡先
- 業務内容
- 就業場所
- 賃金
連絡先は、電話番号・メールアドレス・自社サイトに置いた専用の問い合わせフォームへのリンクのいずれかです。SNSのメッセージ機能だけを示すのでは足りません。6つの情報が載った採用サイトへのリンクを貼るだけでも不十分で、投稿や説明欄に書く必要があります。賃金は「時給1500円〜」のような幅のある書き方でも構いません。リーフレットのQ&Aは、個別の判断にはなるものの、記載があれば直ちに違反とはならないという考え方を示しています。
根拠は職業安定法第5条の4第1項で、記載がない募集は法令違反になるとリーフレットは明記しています。6つの情報は、募集を知らせる投稿ごとに説明欄へ書いておくのが確実です。リーフレットは、6つの情報を広告そのものに書くよう求めているからです。そのうえで、公式LINEの登録リンクを置きます。LINEは連絡先の代わりではなく、問い合わせの入口を増やすものです。
問い合わせの入口を2つ以上用意する
同じ会社は、問い合わせの入口を2つ用意しています。公式LINEの中の問い合わせフォームと、TikTokのダイレクトメッセージです。
職人の求人では、メッセージを送るより、直接電話するほうがつながりやすい傾向があります。現場に出ている人は、文字のやりとりを後回しにしがちです。
そこで、問い合わせの受け方を次のように決めておくのがおすすめです。
- LINEのフォームの項目は、名前・電話番号・希望の職種の3つまでにする
- 問い合わせが届いたら、その日のうちに電話をかける
- 最初の連絡で「履歴書を送ってください」と頼まない
投稿に書く連絡先を電話番号にしておけば、文字のやりとりが苦手な人も電話で問い合わせられます。返信が遅れると、その間に他社へ流れてしまいます。誰が、何時までに返すかを決めておいてください。返信の担当を現場の職長にすると、現場にいる時間は電話に出られません。
動画に出た社員から知り合いへ広げる
職人を確保できている会社は、TikTokと公式LINEに社員の紹介を組み合わせていました。動画は、社員の紹介を後押しする材料にもなります。
社員が出演した動画は、その社員が友人や前の職場の仲間に送りやすくなります。「いま、この会社でこんな仕事をしている」と見せられるからです。口で会社を説明しなくても、動画のリンクを1本送るだけで済みます。
紹介を頼むときは、出演した社員に「この動画を知り合いに送ってみて」と一言添えるだけでも違います。
応募につながる動画の中身
どんな動画を撮るかで迷ったら、現場の格好よさより、求職者が気にしている条件から決めてください。未経験者が仕事を選ぶときに見ているのは、見た目より条件です。
給料と待遇の話は再生数が伸びる
国の事例集には、この会社の気づきとして「給与面、待遇面の話題は再生回数が伸びる傾向がある」と書かれています。
では、どんな待遇を見せればいいのか。TEAM-Xが2026年10月に、建設業で働いたことのない400人に行ったアンケート(インターネット調査)で、年収以外に仕事選びで重視することを聞きました(複数回答)。
| 重視すること | 割合 |
|---|---|
| 週休2日 | 51.25% |
| 残業が少ない | 41.5% |
| 有給が取りやすい | 40.25% |
| 土日に休める | 38% |
| 見た目がかっこいい | 10.25% |
休みと残業にかかわる項目が上位に並び、「見た目がかっこいい」は10.25%にとどまりました。週休2日の5分の1ほどです。対象は建設業の未経験者なので、業界で働く人全体の意識ではありません。
動画では、月給、年間休日、休みの曜日、帰宅の時間を、数字で言ってください。若手社員に「入社して最初の月給はいくらだった?」と聞く、仕事を終えて家に着いた時刻を映す、といった形です。
未経験者が応募をやめる条件の上位5つに動画で答える
同じアンケートで、「求人にこう書いてあったら応募をやめるもの」も聞いています(複数回答・12項目)。上位5つは、日給制・朝7時前の集合・「体力に自信のある方歓迎」・高い所での作業・作業着や道具の自前でした。6位の「土曜日も出勤がある」(26.25%)も、5位とほぼ並んでいます。
この5つは、求人票の文字だけでは不安が消えにくい条件です。動画なら、自社では実際にどうなっているかを見せられます。
ただし、動画にするのは自社が当てはまらない条件だけにしてください。当てはまるのに隠す動画を作ると、入社後に辞める原因になります。
日給制(32%)
月給制の会社なら、「雨で現場が止まった日も、給料は変わりません」と若手社員本人に言ってもらいます。
日給制の会社は、日給制であることを隠さずに、雨の日の過ごし方を見せてください。倉庫での作業や講習にあてている様子と、月に何日ほど働いているかの実績があれば、収入の見通しが立ちます。
朝7時前の集合(30.75%)
1日に密着する動画は、家を出る時刻から撮り始め、時計を映します。直行直帰なら現場に着く時刻、集合があるなら集合の時刻を、数字で見せてください。
朝の集合が早いのを避けられない会社は、仕事が終わる時刻と家に着く時刻も同じ動画に入れます。朝が早くても夕方には帰れると分かれば、受け止め方が変わります。
「体力に自信のある方歓迎」(30.75%)
入社して1〜3か月の社員が、実際にやっている作業を撮ります。重い物を機械で運ぶ場面や、2人で持つ場面があれば映してください。
ベテランの職人技ばかり並べると、見る側には「自分には無理」と映ります。新人の手元と並べて見せてください。
高い所での作業(28.5%)
足場の昇り降りや安全帯の掛け方を、安全教育の場面として撮ります。高所に慣れるまでは地上の作業から始める、という段取りがあるなら、その順番も説明してください。
同じアンケートでは、29.75%が仕事選びで「安全管理がしっかりしている」を重視していました。安全の手順を見せることが、応募の後押しになります。
作業着や道具の自前(26.75%)
支給される作業着・安全靴・工具を机に並べて映します。「入社したら、これが全部支給されます」と言うだけで、1本の動画になります。道具代の補助があるなら、金額も言ってください。
原稿なし・ワンテイクで撮る
事例集の会社は、始めて1〜2か月は原稿を見ながら撮影していました。その場で自分の言葉で話したほうが相手に響くと分かり、いまは原稿なし、ワンテイクで撮っています。
言い間違いや方言は、そのまま残してかまいません。台本は作らず、話すことを3つほど箇条書きにしておく程度で足ります。
字幕だけは付けてください。音を出せない場所で見ている人もいます。編集で手を入れるのは、そこまでで十分です。
社長と若手社員が顔を出す
社長が1次面接をする会社は、事前に社長の人柄を動画で見せておくと、応募から面談までの温度が保てます。面接で初めて社長に会う緊張が、動画を見ていれば和らぐからです。
若手社員には、入社前に不安だったことを自分の言葉で話してもらいます。同じ世代の人が出ていると、見る側は自分に置き換えて考えやすくなります。
顔を出したくない社員には、手元だけ、声だけで出てもらう方法があります。社長が出演をためらう場合は、社員が聞き手になって社長の考えを引き出す形にすると撮りやすくなります。出演してもらうときは、本人の同意を書面で取っておいてください(扱いは後の章で説明します)。
投稿を続ける体制
投稿が止まると、それまでに出した動画も見られにくくなります。準備の章で書き出したテーマを、誰が、どのペースで撮るかを決めておきます。
事例は3日に1回の投稿ペース
事例集の会社は、毎月10本の動画を撮影し、制作会社が編集して、3日に1回のペースで投稿しています。週に2〜3本の計算です。
ここで決めるのは、月に何本撮るかと、誰が撮るかです。同じ担当者が週に何本と決めて、出し続けられるかで判断してください。
撮影は、1日にまとめて何本か撮ると負担が軽くなります。昼休みや朝礼の前など、撮影にあてる時間を先に決めておくと続けやすくなります。
撮影は現場、編集は事務か外注に分ける
現場の社員に編集まで任せると、続きません。撮るのは現場、編集と投稿は事務の担当者か外部の制作会社、と分けてください。事例集の会社も、編集は制作会社が担当しています。
投稿する前に、誰が中身を確認するかも決めておきます。とくに給与や休日の数字は、求人票と食い違っていないかを確かめてから出してください(理由は次の章で説明します)。
再生数でなく問い合わせ数で見る
事例集の会社は、再生数が伸びた話題をくり返し取り上げています。ただし、事例集が成果として挙げているのは、再生数ではなく問い合わせの人数と採用の人数です。
毎月数える数字は、次の順に並べておくと、どこで止まっているかが分かります。
- 投稿した本数
- 公式LINEの登録数
- 問い合わせの数
- 面接の数
- 採用の数
再生数は、どの話題が伸びたかを見るために使ってください。問い合わせが来ないときは、動画より先に導線を見直します。プロフィールに連絡先が書かれているか、LINEのフォームの項目が多すぎないか、返信が遅れていないかを確かめてください。
社内で手が回らないときに外へ任せる範囲
TikTokの運用が止まる会社は、たいてい次の2つのどちらかに当てはまります。
- 手が足りない:撮影はできても、何を撮るかの企画や編集、数字の確認をする人がいない。総務や事務の兼任で、週に1本も出せずに止まっている
- 続けても伸びない:3か月投稿しても、公式LINEの登録や問い合わせが増えない。どの話題が問い合わせにつながったのかを、社内で振り返れていない
このどちらかなら、運用の一部を外に任せることを考えてください。外に任せられるのは、次の4つです。
- どの媒体で、何を発信するかの方針
- 投稿のテーマと投稿カレンダー
- 社内で撮影が回る段取り(誰が、いつ、どの現場で撮るか)
- 反応の数字を見て、話題を入れ替える改善
一方で、撮影と出演は現場に残してください。社員が自分の言葉で話すから、見る側に伝わります。外の人が台本を書いて撮る形にすると、その良さが消えてしまいます。
外に任せる前に、月の本数、撮った素材の受け渡し方法を決めておきます。問い合わせへの返信は社内に残してください。返信まで外に出すと、その日のうちに電話する流れが切れてしまいます。
TEAM-Xの採用コンサルティングでは、SNS運用の支援として、プラットフォームの選定と運用方針の設計、発信テーマの設計、運用の流れと体制づくり、反応のデータにもとづく改善を行っています。
撮影と投稿の注意点
SNSで募集するときは、投稿も募集の情報として法令がかかります。現場を映すときは、安全と施主の情報にも気をつけてください。
動画で伝えた給与や休日も正確に保つ
先ほどの厚生労働省のリーフレットは、インターネットやX(旧Twitter)などのSNSで募集の情報を出すときも、職業安定法第5条の4がかかると明記しています。同条は、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じたうえで、募集を行う者に、情報を正確で最新の内容に保つよう求めています(出典:e-Gov法令検索「職業安定法」)。
動画で「月給30万円」と言ったら、その条件は求人票と同じでなければなりません。昇給や手当の改定があったら、古い動画を非公開にするか、説明欄で訂正してください。
「手取り」や「最高でいくら」だけを言う動画は、誤解を招きやすくなります。モデル年収を言うなら、入社何年目で、どの資格を持つ人の例かを添えてください。
固定残業代がある会社は、求人票で次の3点を示す必要があります。固定残業代を除いた基本給の額、固定残業の時間と金額、それを超えた分は追加で払うことです(出典:厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」)。動画で月給を言うときも、この内容とずれないようにします。
募集では、業務内容や賃金などの労働条件を示す必要があります(職業安定法第5条の3)。求人票に書ききれず「詳細は面談で」とした場合も、厚生労働省は、初回の面接など最初に接触する時点までに、すべての労働条件を示すよう求めています(出典:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」)。公式LINEで問い合わせが来たら、最初の返信で求人票を送ると決めておくと安心です。
安全帯やヘルメットを外した場面を映さない
撮影のために、危険な作業を演出しないでください。安全帯を使っていない場面や、ヘルメットをかぶっていない場面が一瞬でも映ると、安全を気にしている人ほど応募をためらいます。「応募につながる動画の中身」の章で見たとおり、未経験者の29.75%が安全管理を重視しています。
投稿する前に、次の3つを確認します。
- 保護具をきちんと着けているか
- 足場の手すりが映っている範囲で外れていないか
- 重機のまわりに立入禁止の表示があるか
元請の現場で撮るときは、撮影してよいかを元請に確認してください。
施主の建物や住所が分かる映り込みを消す
表札、車のナンバー、住所が分かる看板、図面、施主名の入った工事看板が映らないように撮ります。映ってしまったら、モザイクを入れてから投稿してください。
個人の住宅の現場では、施主の許可がない限り、外観が分かる撮り方をしないことです。
出演する社員とは、顔を出す範囲と、退職したあとの動画の扱い(非公開にするか、残すか)を書面で取り決めておきます。後から「消してほしい」と言われたときに、どうするかで迷わずに済みます。
まとめ
建設業のTikTok採用は、動画の出来より、条件の見せ方と問い合わせまでの導線で結果が分かれます。
- TikTokで20代の若手を採用できた建設会社がある。施工管理の採用では、SNSが決め手になった会社は少なく、求人媒体・人材紹介・スカウトが上位に並ぶ
- 国の事例はTikTokから公式LINEへつないでいた。投稿には会社名・住所・連絡先などの6つの情報を書き、問い合わせには電話で返す
- 動画で見せるのは給料と待遇、それに応募をためらう条件の上位5つへの答え
- 始める前に、会社名義のアカウント・プロフィール・10本分のテーマを用意し、月の本数と撮る人を決める
- 社内で手が回らない、続けても伸びないときは、方針・企画・体制・改善を外に任せ、撮影と問い合わせへの返信は社内に残す
- SNSで募集するときは投稿も募集の情報。給与や休日が求人票と食い違わないよう、古い動画は見直す
明日からできるのは、これまでに出した募集の投稿を開いて、説明欄に会社名・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金の6つが書かれているかを確かめることです。足りなければ、新しい動画を撮る前にそこから書き足してください。
よくある質問(FAQ)
Q. TikTokとInstagramは、どちらから始めればいいですか?
A. 現場の動きと条件を動画で見せたいならTikTok、施工実績を写真で見せたいならInstagramから始めるのが向いています。利用している人の多さだけで比べると、総務省の令和7年度調査(2025年12月・13〜79歳の1,800人)ではInstagramのほうが30代(76.6%)・40代(67.1%)ともTikTok(44.7%・42.6%)を上回ります。一方、国土交通省の事例集に載った建設会社は、TikTokで10〜30代の男性から最も多く問い合わせを受け、半年で20代を10名前後採用しました。
どちらを選んでも、両方を同時に始めると投稿が続きません。まず1つに絞り、月の本数が安定してから広げてください。
Q. TikTokを始めてから、どのくらいで問い合わせが来ますか?
A. 一律の期間は言えません。投稿の頻度と導線で大きく変わるためです。国土交通省の事例集に載った滋賀県の建設会社では、始めて1か月で30名前後から問い合わせがあり、その後も毎月10〜20名から連絡が続いています。ただしこの会社は毎月10本を撮り、制作会社に編集を任せて3日に1回投稿していました。問い合わせが来ないときは、動画より先に、プロフィールの連絡先と返信の速さを見直してください。
Q. 施工管理の求人に、TikTokで撮った動画をどう使えばいいですか?
A. スカウトの文面に、社長や現場の様子を撮った動画のリンクを1本添えて使ってください。施工管理の採用で成果につながった手法は、求人媒体・人材紹介・スカウトが中心です。TikTokで応募を集めるより、声をかけた相手に会社の様子を知ってもらう材料として使うほうが向いています。施工管理向けに新しく撮り直す必要はなく、職人の採用で撮った現場の動画をそのまま添えられます。
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この記事の監修者
高谷 匠TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、関西の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任


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